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バスジャック 三崎亜記

バスジャック バスジャック
三崎 亜記 (2005/11/26)
集英社
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<何とも奇妙で不思議な味。堂々の三崎ワールド>

前作の「となり町戦争」では日常の中にある日、突然、非日常の戦争が飛び込んでくるという設定で読者を驚かせてくれました。その作者が織り成す、何とも奇妙で不思議な短編集。

仕事から帰ると、二階扉をつけて欲しいという奇妙な依頼があるが、何のための二階扉かが分からない…「二階扉をつけてください」
「今、バスジャックがブームである」という言葉から始まる…「バスジャック」
動物を完全に演じる奇妙な職業の日野原。動物園での仕事を受けたものの…「動物園」
お母さんが突然いなくなり、見つけて着いたところは、全く人形としか思えないものを車椅子で押す人たちが集まるホームだった…「送りの夏」
この4編が特に秀逸です。その間にある短編、長短編たちがとってもほっとさせてくれます。特に「しあわせな光」は超短編ではあるけれど、とっても幸せな気持ちにさせてくれます。

この作者の持ち味なんだろうけど、本当に怖いです。「二階扉をつけてください」のラストに寒気がしてきます。平然とした顔で人形を押している「送りの夏」でのホームの人たち。こちらは心理的に怖い。
そして、とにかくブラック要素がたっぷり詰め込まれています。「バスジャック」をゲームにしてしまうなんて。ちょっとやりすぎだとは思うんですが、それを敢えて書く作者はすごい。現在の動物園事情を網羅した「動物園」。

そして、悲しい。「しあわせな光」「二人の記憶」、そして生と死について考えさせられる「送りの夏」が、とても切ないんです。
この作品集を読んでいて、星新一さんや阿刀田高さん、筒井康隆さんと重ねてしまうのはわたしだけでしょうか。

ホラー、ユーモア、パロディととっても多彩な三崎さんに脱帽です。そして文章にスピード感を感じさせてくれますので、すぐに入り込んで楽しめた作品でした。
三崎亜記さんは今後も注目する作家さんです。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

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スコーレ№.4 宮下奈都

スコーレNo.4 スコーレNo.4
宮下 奈都 (2007/01/20)
光文社
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<人生には4つの学校がある>

古道具屋マルツ照会の3姉妹の長女、麻子。妹の七葉は、何に対しても積極的である。この一つ違いの妹に対して劣等感をもちつつ、何事にたいしても決して積極的にはなれない麻子が一つの殻を破るまでの成長の小説です。

この作者、ただものではないですねー。文章が本当に上手い。瑞々しく流麗なんです。女性ならではですかね、本当に美しい。
中学生の時の水色の描写を見よ。本当にはっとさせられます。
好きな人に佇んでしまう光景。いいんです。

麻子という女性の成長小説なのですが、№1からの章が、それぞれ、各時代の短編にもなっており、各章ごとにとってもいいんです。

好みは人それぞれあるでしょうけど、わたしは就職した輸入貿易会社から、すぐに出向に出された靴店の№.3が好きですね。
自分自身の才能に、目覚めたときの麻子の姿に凛々しさを感じました。
自信を持って、臨んでゆく麻子の姿に元気が出てくるんですよね。

麻子の中に自分を投影しているからなんでしょうね。「何をやってもダメ」という劣等感。それが家族の中の妹であるというコンプレックスを彼女は、いかに克服していくのか。
克服する力は家族や、生活の中にちゃんとあったのです。そして、一緒に克服できる相手も見つかり…。
最後も爽快のひと言。

欲を言えば、少しラストにこだわりすぎたかなー。まっ、著者最初の長編小説ということを考えれば、それもまた良し。

「大切なのは好きかどうかなのだ」
このことを胸に生きていこうと思える作品なのです。

今年一番の注目される、新進作家の秀作をご堪能あれ。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

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鹿男あをによし 万城目学 

鹿男あをによし 鹿男あをによし
万城目 学 (2007/04)
幻冬舎

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<さあ、神無月だ。出番だよ、先生>

「鴨川ホルモー」で、読者を奇想天外な世界へ、引きずりこんだ作者の二作目です。
題名から変ですよね。しかし、題名もおかしいんですが、内容はもっと可笑しいのです。それでいて、引き込まれる。この作者、やりますね。二作目は、さらにヒートアップの面白本です。

大学院生のおれは、神経衰弱の烙印を押され、休暇代わりに奈良の女子高校へ産休の代用教師として赴任することになる。その高校は京都、大阪にも姉妹校を持ち、年に1回、大和杯という三校対抗のスポーツ大会が行われる。そんな時に、おれが出くわす、奇妙な出来事。彼の手に、日本が託されることになる。

単なる奇想なお話に終わらせなかったことが、いいんですね。剣道というスポーツを作品に取り入れていることが斬新。スポーツ小説でもあるんですよ。この作品の剣道の試合の緊迫感の見事さ。

京都の狐、奈良の鹿、大阪の鼠。それぞれの学校がシンボルにしている。
神様の気まぐれもあり、60年に1回遷される「目」の儀式。そして、大和杯の剣道の大会の優勝校に贈られる「サンカク」プレート。目とサンカクはどういう繋がりなのかは読んでみて下さい。
シンボルが役割を持って、日本を守っているなんて。神話や考古学にも長けた作者ならではの、ストーリーだと思います。

本当にばかばかしい話です。
しかし、奈良の鹿の可愛さと可笑しさ。話をしながら、糞をする鹿の身勝手さが本当に可笑しい。方や人間に対する皮肉もこめられています。

果たして、新任先生は日本を救えるのでしょうか。
ばかばかしい話に引き込まれてしまう、何ともコミカルであり、学校で出会う先生や一人の少女との別れの切なさ。ラストもいい、怪作、いえ快作です。

テーマ : ブックレビュー
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