<「正しい」と思っていても、「余計なお世話」になる、ホテルの世界>坂木さんの本年、二作品目を読みました。上手く形容できないんですけど、働く人シリーズ?業界シリーズ?何といっていいのか分からないのですけど、。この作者の描く世界が好きです。やはり、それぞれの職業の誇りが描かれているからなのでしょうねー。
大家族の長女であるヒロ。長女であるゆえに一家の面倒を見てきた。姉弟が大きくなって、手がかからなくなって、母に「これからは好きにしていいよ」といわれる。そんな大学生ヒロがバイト先に選んだのは、沖縄のC級ホテル。その名も「ホテルジューシー」。そこでは、奇妙で不思議な人たちが働いていた。家族のために、必死で働いていた、娘がホテルで働くことに。様々な良かれと思って行ったことが、大きなお世話と疎んじられる。ホテルというところはそういう業界なんですね。「お客様のため」って、一体何と主人公は悩むのです。でも嫌いじゃない、こういう主人公。ホテルの一面も垣間見られて、楽しい。
超C級ホテルなんですが、ここで働く人たちが、個性的。昼行灯のオーナー代理。絶品の朝食を作る比嘉さん。客の私物を障るクメばあとセンばあ。とんでもない人たちなんですが、温かいんですねー。このホテルはお客さまのためという意識が徹底しているんです。そういう、環境に慣れていない、主人公ヒロはでしゃばりすぎてしまう。
お客の真相に気付いてから、悩むんですねー。
ホテルを舞台にして、であった客達の日常の謎が解き明かされてくんですが、解き明かすのは、不眠症で昼は寝ているため、ボーっとして、夜にはしゃきっとしているオーナー代理。
ヒロといい感じになっていくんですが、これがまたねー。
最後の話でいうんですね。
「世界は柿生さんがいなくても回るし、このホテルもいなけりゃいないでなんとかなる」
おい、そりゃ、ないだろーと思いつつ、そういうものなんですよね。社会って。自分がいなくては回らないと思いつつ、いなけりゃいないで何とかなる。
そうなんだよなー。自分があくせく働いているのは何のためなんだろうと思ってしまいました。
しかし、働くことって楽しい。主人公ヒロが、ホテルで出会った人たちによって、どんどん成長していく姿が爽快。
特に、「越境者」での若い今風の二人に合った話が泣かせる。夜遅くまで、遊びまくる二人。しかし、二人の間には、あるトラウマがあったのです。ヒロと二人の仲が、急接近しているラストが秀逸。泣かせます。
そんな、ホテルで出会う様々な人たちのお話。沖縄という舞台もすごく、温かくて大好きです。何より、比嘉さんが作る郷土料理の数々。
ああ沖縄に行きたくなる。
この作品は、「シンデレラ・ティース」の姉妹編だとか。ヒロの友だちのサキが主人公だったのか。ああ、読んでいないことが残念!
これは読まなくては。
とっても面白い作品です。坂木さんの描く、業界シリーズに目が離せない!!