コンテントヘッダー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
コンテントヘッダー

悪人 吉田修一

悪人 悪人
吉田 修一 (2007/04)
朝日新聞社出版局
この商品の詳細を見る

<悪人は誰なのか?>

いやはや、すごい作品に出会いました。
2007年は、この作品と出会うためにあったといっても過言ではありません。それほど、すごい。
あまりに、いい作品でネタバレが多数あります。
未読の方は、読了後にお越しいただいたほうがいいかもしれませんのでご注意を。

福岡と佐賀の県境の三瀬峠で女性の遺体が発見される。女性は出会い系サイトで男と会う予定だった。犯人は絞られ、出会い系で知り合った女性を巻き込んで逃亡することに。

一つの殺人事件を通して、描かれる被害者、加害者、その家族と友人の置かれる境遇の厳しさ。しかし、この作品は、それだけではないのです。
この作品は重いのですが、読者にその重さを受け止める逞しさを伝えます。つまり、乗り越えることはできないが、前に進む逞しさというのでしょうか…。

例えば、祖母房江がスカーフを買い、詐欺師グループの事務所に乗り込む場面。被害者の父佳男が福岡から帰ってくると、妻里子が理容店を再会している場面。
それぞれがこの事件を受け止めながら、前に進んでいくんですね。
そこが感動を呼ぶんですね。

いろいろ、いい場面はあるのですが、一番好きなのは、祖母房江がマスコミに追われ、バスに乗るところです。運転手のひと言に涙、涙です。
呼子のレストランで光代と二人で食べる、イカ定食。祐一が罪を告白するんですね。その何と悲しいことか。
このシーンだけでも、泣けてしまう。

殺人を犯すことはもちろん、悪い。しかし、その背景は一体誰が作ったのか。人と人とのつながりは、なぜ、こんなに希薄になったのでしょう。一人では生きられないから、つながりを持ちたい。だけど、できない。それで、出会い系サイトに走ってしまう。
こんな社会の希薄さを、存分に伝えています。
悲しいことに、大切な人がいない人たちが多すぎるんですね。

大切な人を見つけた祐一と光代の関係も泣かせます。幸せになりたい、ただそれだけだったのです。祐一が取った行動は大切な人だからこそだったのですね。泣かせます。

この作品は、現代が抱える、社会の姿を一つの殺人事件を通して、浮かび上がらせ、悪人とは一体誰なのかを、読者に突きつけます。
紛れもなく、今年の収穫です。
スポンサーサイト
コンテントヘッダー

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

悪人 吉田修一

福岡県と佐賀県の県境にある三瀬峠で起こった殺人事件をモチーフに、事件の真相と犯人逮捕に至るまでの全貌を克明に描いた長編。犯人が最初からわかっているという、いわゆる倒叙法により話は展開、犯人からその友人、被害者の家族に至るまでの心理描写がとにかく絶妙で...

悪人 吉田修一

装幀は町口覚。初出「朝日新聞」2006年3月24日~2007年1月29日。福岡と佐賀の県境、三瀬峠の殺人事件。被害者石橋佳乃・保険外交員。加害者清水祐一・土木作業員...

悪人 〔吉田 修一〕

悪人吉田 修一 朝日新聞社出版局 2007-04売り上げランキング : 926おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools≪内容≫なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう――携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。再び彼は別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人....

悪人

悪人吉田 修一 (2007/04)朝日新聞社出版局この商品の詳細を見る福岡の三瀬峠で保険外交員石橋佳乃の遺体が発見される。同僚の前では彼氏と思われる人物と待ち合わせをしていたはずだが、その夜約束していたのは長崎に住む土木作業員
コンテントヘッダー

コメントの投稿

非公開コメント

おはようございます。よしさん。
私も、この本には大きな衝撃を感じました。
読後は、しばらく呆然としてしまいました。

いやー、それにしても凄かったですよね。

偶然!!

こんにちは~。
この本、図書館から借りてきてこれから読むところです。
ネタバレが多数あるというので、感想はまだ拝見して
いません(^^; 期待して読みます♪

>ゆうさん
こんばんはv-279
いやー、すごかった。ここまで息もつかせない作品はめったにないですよね。
読み終わった後の疲労感といったら(笑)

どうやら悪人専用サイトのサイトもあるようですね↓
http://opendoors.asahi.com/akunin/

わたしは映画化されるんじゃないかと思いますね。

>ゆこりんさん
お久しぶりです。
ある意味、うらやましい。このドキドキの世界を今から入り込めるなんて。
感想はいかがでしょうかね。
ゆうさんとは、すごい作品ということで、一致したのですけれど(笑)


こんにちは。
ほんとに凄い作品でしたね。 加害者や共に逃避行した女性のことはもちろんなのですが。 否応なしに、事件に関わらざるを得なくなった周辺の人々の、一人一人の人間性に優しさと尊敬の念を持って、丁寧に描かれていることに感銘を受けました。 私も加害者の祖母とあのバスの運転手のエピソードが好きです。 
読書の醍醐味を味わせてもらって「ありがとう」の一冊でした。

ごめんなさい、↑はsarnin512です。
名無しになってしまいました。 

>sarnin512さん
本当にすごい作品でした。
未だに余韻が残って、次の読書に引きずっています。
逃避行した女性だけでなく、加害者、被害者の家族や友人など、本当に丁寧に描かれていましたね。

これはあまり書けないのですけど、被害者と加害者の昔の接点って気付きました?
その辺りも上手いんですよ。

こんばんは。
悪人とは誰なのか―。
さまざまな角度から、見る人によって変わる人の姿。
読み応えがありましたね。
まさに吉田さんの代表作、今年の収穫でしょう。

「悪人」公式サイト、行ってみました。
人物相関図であらためてスケールの大きさにビックリしました。

こんばんは!
TBありがとうございました。
この作品、吉田さんの代表作といっても過言ではないくらいスゴイ作品でしたね。
いろいろと考えさせられ、重い作品ではありますが、よしさんの仰るとおり、前に進む逞しさというのも感じさせられました。
私もバスの運転手さんの言葉には涙でした。

>藍色さん
こんばんは。
本当に読み応えありありでした。
この作品を語れば語りつくせないなー。
すごいでしょ。「悪人」公式サイト。
著者の思いいれもすごいですよね。

>エビノートさん
こんばんは。
被害者だけでなく、それに関わる女性、そして逃亡劇。
これだけでも読ませるとは思いますが、何よりすごいのは、加害者、被害者の家族を描いたことにが、成功でしたね。
それでいて、前に進む逞しさ。いやー、すごいです。
まさに代表作。

あのバスの運転手さんを書いた吉田さんとはすごい作家です。

>悲しいことに、大切な人がいない人たちが多すぎるんですね。
本当にそうですね。
他人へのちょっとした思いやりとか優しさ、そんなものがなくなっちゃって、こういう悲しい事が起こっちゃうんでしょうね。
バスの運転手さん良かったですね。

>ななさん
そうなんですよね。
思う人、思ってくれる人がどれだけいるのかってことなんでしょうね。
だから、祐一と光代がお互い惹かれたんですよね。
バスの運転手さんの言葉に涙、涙でした。

TBさせていただきました。

TBさせていただきました

著者が並々ならぬ覚悟でこの作品に取り組み、できる限りの力を注いだという熱意が伝わってくるような本でした。

>タウムさん
こんばんは。
すごい本でしたね。この小説の力に圧倒されっぱなしです。
作者渾身の傑作と思いますね。
プロフィール

よし

Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

ただし、スパムが多いため、コメントは承認制、TBは現在禁止しています。

カレンダー(月別)
04 ≪│2017/05│≫ 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
今読んでいる本
よしの今読んでる本
最近の記事+コメント
ブログリスト
あわせて読みたい

あわせて読みたい

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

ブログ内検索
RSSフィード
最近のトラックバック
カテゴリー
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。