
黄金の王 白銀の王 沢村 凛
![]() | 黄金の王白銀の王 (2007/10) 沢村 凛 商品詳細を見る |
<平和とは何と難しいものだろう。ファンタジーという歴史小説>
これまた広島出身の作家さん。
この方、ファンタジーでデビューされたのですね。知らなかった。この異世界ファンタジー。最初は、なかなか入り込めなかったのですが、中盤からは一気読み。いやー、これは凄い作品です。
敵に捕われの身となった王と、混乱する二つの国をなだめて総べる王。二人が思い描いた理想は、はたして実現することができるのか?!小谷真理氏大絶賛の歴史ロマンファンタジーの傑作誕生!
「翠」の国。この国では鳳穐一族と旺廈一族が争いの果てに主となっていた。鳳穐の時代の主である、穭(ひづち)は、旺廈一族の頭領、薫衣(くのえ)に提案をします。争い、憎みあう歴史を変える。平和になりたいため、薫衣もこの提案を受け入れます。そして、そこから苦難と苦闘の物語が始まります。
いやー、凄かった。まるで気分は歴史大河小説を読んだよう。
鳳穐と旺廈は互いに血で血を洗う、まさに骨肉の争いなんです。隙あれば殺してやりたいと思っている対立する一族。
その対立する頭領、穭は決断します。川の流れを変えていきたいと。そのために穭の妹、稲積(にお)と薫衣を結婚させます。そして、お互いの血を混ぜ合わせます。そうやって、お互いを押さえ込んでいくのです。しかし、両方の一族からは誹謗、批判、裏切り、謀略、など渦巻き、決して認めようとはしません。しかし、それも分かっていながら、薫衣はうけいれます。その耐え忍ぶ姿の何と、壮烈なこと。妻となった稲積や子供にも困難は降りかかります。
すぐには変わらないけれど、穭の思いと薫衣の願いが徐々に国を変えていきます。そして、大国が攻めてくるのです。その総大将に指名される薫衣。その才能を発揮しだすんですね。この闘いがまた凄い。
いや-、書けば書くほど尽きない。
このままだと全部語ってしまいそうなので、興味のある方はこの作品で。
ただ、決してハッピーエンドというわけではないので。つまり、一族を抑えるためにはこれしかないという道を選んでいくんですね。でもその道は子供達に受け継がれ、やはり、ハッピーエンドということかな。
薫衣の苦渋の生活。暴発する一族に「家紋(雷鳥)は胸にある」と諭すところなど、鳥肌が立つような感動が来るんです。
そして、側室とその子供が死んだとき、悲嘆にくれる薫衣に永年の思いを爆発させる稲積の姿に涙です。
第1章は序章にすぎず、2章、3章と耐えて読んでみてください。この異世界歴史ファンタジーが、決してファンタジーだけではないと気付くでしょう。そう、民族間や部族間での争い、国と国との戦争に対し、作者の願いが凝縮されていると思います。だから、感動を呼ぶんですね。
この「異世界歴史大河ファンタジー」をぜひ。
しかし、読み疲れました(笑)
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