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私の男 桜庭一樹

私の男 私の男
桜庭 一樹 (2007/10)
文藝春秋
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<血の繋がりとは。禁断の愛に溺れる父と娘>

レビューする本はたまりに溜まっているのに、この作品を書かざるにはいられない気分です。それほどすごかった。噂に違わぬ凄い作品でした。1章から引き込まれます。桜庭さんの筆致が冴えて、引き込まれます。うまいし、やはり凄い。この物語を最後まで読ませる力量に脱帽でした。

雨の匂いのする男、淳悟は「私の男」。9歳で震災に遭い、家族をなくした花は、たった一人の親戚という淳悟に引き取られる。しだいに父は娘を。娘は父しか愛せなくなっていた。

小説は、結婚を前にした娘花が結婚する前日、雨の匂いがする男、淳悟が婚約者と合うところから始まります。この冒頭から、惇吾と花のいろんな意味でただならぬ関係が、随所に織り込まれ、さらに過去の暗い事件が、差し込まれます。
そして、過去を遡り、展開していきます。上手いなー。花と惇吾には一体何があったのか。

読み進めるうちに、ぞわぞわする感じが。爽快感ではなく、不快感もたっぷりで、さらに暗く重い。それでもこの小説を読み進めてしまう、不思議さ。ただのノワール小説ではなく、ミステリーでもあるから読んでしまうんですね。

そして、もう一つは、過去に遡って書かれているという小説であるということです。今までにもそういう作品はありましたねー。しかし、それは事件があって、なぜそれに至ったかという説明でした。
この作品は、父と娘が辿ってきた過去と、二人の関係を壊してしまいそうな、二人の人間を殺めてしまうという話が過去に遡って書かれているんです。

しかし、それだけではないんです。父と娘しか持ち得ない、信頼関係の描写が随所にあります。第6章で父と娘が出会うシーンを見てください。血の繫がりがあったからこそ、信頼できる関係であり、禁断の関係になってしまう。間違っているけど、この二人の倫理観では、間違っていないんですね。その描写が、実に怖いんです。

異常ですよね、この関係。冒頭から淳悟という男がまんべんなく描かれているんです。結婚前夜の花に、盗んだ傘を当たり前のように渡すところ。そして、花に大事なものといって、カメラをわたすところとか。このカメラが実はすごく意味のあるものであろうとは。この辺の伏線も実に上手いんです。

ただ…、読ませるんですが、淳悟と花の血の繫がりとはというところが、分からなかったなー。そこはあえて、省略したんでしょうが。淳悟が16歳の時が描かれていないのが、少し不満。しかし、それは謎のままおいていても、このただならぬ関係は起こるべくして、起きたと感じざるを得ません。

桜庭さんはよくこの作品を書いたよなー。挑戦作であり、意欲作です。真っ向から禁忌に挑戦して、しかもここまで引き込む小説を。
乗りに乗っている作家さんです。早くも傑作をものにしてしまいました。疲れるのを覚悟して、この世界に引き込まれてください。
本当に傑作です。
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No title

おはようございます。よしさん。
すごく重い作品でしたよね。
直木賞候補にあがってますが、この作品がとるんじゃないかと(笑)

No title

>ゆうさん
こんばんはv-354
重すぎて圧倒されましたね。
直木賞大本命ですよね。やはりとってしまう予感が。

それにしても凄かった。圧倒されて、まだ立ち直れません(笑)

さっそく

TBありがとうございました。
桜庭さん、どえらいものを書いてくれましたね(笑)。
凄すぎてなんて感想を書いていいのやら困りました(いつもだろうとツッコミなしで  笑)。

まだ記事も少なく粗末な拙ブログですがこれからもよろしくお願いします。

あとリンクも貼ってよろしいでしょうか?

No title

>りべさん
こんばんは。ついに始められましたね。
こちらでもお会いできるとは、嬉しいかぎりです。

この作品の余韻を未だに引きずっている私です(笑)

どうぞ、リンクは貼ってください(お願い)
わたしも登録させていただきました。

No title

こんばんは。
直木賞受賞でしたね。
本当にすごい物語でした。
>血の繫がりがあったからこそ、信頼できる関係であり、禁断の関係になってしまう。間違っているけど、この二人の倫理観では、間違っていないんですね。
過去に遡って読んでいる私も「本当は間違っているんだろうけど、この二人はこれでいいって思ってしまう。

No title

>ななさんへ
本当に受賞してしまいましたね。
間違ってるんですが、この二人を否定できない自分もいたりして。
そう思わせる凄い作品でした。

こんばんわ。TBさせていただきました。
今更ながら、ようやく読みました。
2人が周りから見れば間違っている事は分かるんです。
でも、どの家族にも欠陥はあるんです。
その形がこの2人はこういう愛情表現の仕方だったのかなとも思います。
いや~重かったですね^^;

>苗坊さん
重たかったですねー。
この二人の倫理感は間違っていても、どっかに欠陥ってありますものね。それが極端な愛になり、犯罪になる。
いやー、重かったです。
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よし

Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

ただし、スパムが多いため、コメントは承認制、TBは現在禁止しています。

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