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1月に読んだ本

今月も今日で終了。あっという間に1月も過ぎ去りました。
今月は9冊読みました。われながら、頑張った方だと思います。ファンタジーも2冊。厚い本も2冊。
うん、よく頑張った。
今月の読了本↓

1.『晩夏のプレイボール』あさのあつこ
2.『僕僕先生』仁木英之
3.『私の男』桜庭一樹
4.『風に顔をあげて』平安寿子
5.『木洩れ日に泳ぐ魚』恩田 陸
6.『美晴さんランナウェイ』山本幸久
7.『我らが隣人の犯罪』(再読)宮部みゆき
8.『黄金の王 白銀の王』沢村 凛
9.『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎

印象に残ったのは、この3冊↓
黄金の王白銀の王
沢村 凛
4344013980

私の男
桜庭 一樹
4163264302

ゴールデンスランバー
伊坂 幸太郎
4104596035

どの作品も、読んでため息が出るような本ばかりです。
今月は9冊ですが、いい読書でした。それにしてもベスト級が1月に集中したような…。
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予知夢 東野圭吾

予知夢 (文春文庫) 予知夢 (文春文庫)
東野 圭吾 (2003/08)
文藝春秋
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<探偵ガリレオ第2弾。不思議な事件が解き明かされてゆく>

探偵ガリレオ」シリーズ第2弾です。今回も奇想天外なのですが、第1弾「探偵ガリレオ」に比べるとトリックのスケールが小さいですね。しかし、各話の結末は数段のレベルアップ。見事に着地する短編集です。
ドラマ化もされ、次は「容疑者Xの献身」が映画化。でも、原作が好きなんだよなー、わたし。

深夜、16歳の少女の部屋に男が侵入し、気がついた母親が猟銃を発砲した。とりおさえられた男は、17年前に少女と結ばれる夢を見たと主張。その証拠は、男が小学四年生の時に書いた作文。果たして偶然か、妄想か…。常識ではありえない事件を、天才物理学者・湯川が解明する、人気連作ミステリー第二弾。【BOOKデータベースより】


幼い頃からの夢にでてくる女性を思い続け、実現する男の話「夢想る(ゆめみる)」。殺された女は同時刻に窓辺にいた「霊視る(みえる)」。ある時間になると家中が震えだす「騒霊ぐ(さわぐ)」など、奇怪な事件を解決するのは、ガリレオ探偵、湯川学。

前作よりも、パワーダウンは否めない作品ですが、その怪奇な事件性はアップしています。すべてがありえない事件なんですよね。持ち前の科学的根拠をもとに難なく事件を解いてしまう湯川。草薙と湯川のコンビもはまっています。
印象に残った話は、「騒霊ぐ(さわぐ)」。なぜ家が一定の時刻になると震えるのか。湯川の推理がさえますが、読者もある程度想像がつくと思います。ピッタリと当たったのですが、「それはないよなー」と思う作品。

しかし、湯川に言われると、そうなのかと思えてくるから不思議。
東野さんは理工系の大学ご出身だとか。だからこれだけの知識が書けるのですよね。納得してしまいました。この知識だけでも凄い。
今回、笑ったのはお得意の実験。何と草薙が訪れると生徒たちが綱引きをしているのです。これも立派な実験なのです。

前段にも書きましたが、この作品は結末がピタリとはまっています。特に「予知る(しる)」の結末は実にうまい。オカルトなんかない、全ては科学的根拠に基づいていると結論づけるのではなく、実はこの世には不思議な出来事がまだまだあるということを示しているような気がします。
つまり科学の領域は際限がないということを。
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1月の新刊本

阪急電車ラットマン相棒たすけ鍼新世界より 上

今月の新刊注目本をメモ代わりに。
左から
『阪急電車』有川浩
『ラットマン』道尾秀介
『相棒』五十嵐貴久
『たすけ鍼』山本一力
『新世界より』貴志祐介

その中でも『相棒』は外せないなー。さっそく図書館へ予約しました(笑)。
割と早く読めるかもしれません。
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第10回大藪春彦賞

徳間書店が主催する第10回大藪春彦賞に近藤史恵「サクリファイス」と福沢徹三「すじぼり」に決まりました。
選考基準がハードボイルド、新進気鋭の作家ということなのだが、近藤さんは新進かな。ちと疑問なのですが。
「サクリファイス」はじっくり読ませていただいたので、それはそれで良かった感。
「すじぼり」も読まなくては!

サクリファイス
サクリファイス

すじぼり
すじぼり
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黄金の王 白銀の王 沢村 凛

黄金の王白銀の王黄金の王白銀の王
(2007/10)
沢村 凛

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<平和とは何と難しいものだろう。ファンタジーという歴史小説>

これまた広島出身の作家さん。
この方、ファンタジーでデビューされたのですね。知らなかった。この異世界ファンタジー。最初は、なかなか入り込めなかったのですが、中盤からは一気読み。いやー、これは凄い作品です。

敵に捕われの身となった王と、混乱する二つの国をなだめて総べる王。二人が思い描いた理想は、はたして実現することができるのか?!小谷真理氏大絶賛の歴史ロマンファンタジーの傑作誕生!


「翠」の国。この国では鳳穐一族と旺廈一族が争いの果てに主となっていた。鳳穐の時代の主である、穭(ひづち)は、旺廈一族の頭領、薫衣(くのえ)に提案をします。争い、憎みあう歴史を変える。平和になりたいため、薫衣もこの提案を受け入れます。そして、そこから苦難と苦闘の物語が始まります。

いやー、凄かった。まるで気分は歴史大河小説を読んだよう。
鳳穐と旺廈は互いに血で血を洗う、まさに骨肉の争いなんです。隙あれば殺してやりたいと思っている対立する一族。
その対立する頭領、穭は決断します。川の流れを変えていきたいと。そのために穭の妹、稲積(にお)と薫衣を結婚させます。そして、お互いの血を混ぜ合わせます。そうやって、お互いを押さえ込んでいくのです。しかし、両方の一族からは誹謗、批判、裏切り、謀略、など渦巻き、決して認めようとはしません。しかし、それも分かっていながら、薫衣はうけいれます。その耐え忍ぶ姿の何と、壮烈なこと。妻となった稲積や子供にも困難は降りかかります。

すぐには変わらないけれど、穭の思いと薫衣の願いが徐々に国を変えていきます。そして、大国が攻めてくるのです。その総大将に指名される薫衣。その才能を発揮しだすんですね。この闘いがまた凄い。

いや-、書けば書くほど尽きない。
このままだと全部語ってしまいそうなので、興味のある方はこの作品で。
ただ、決してハッピーエンドというわけではないので。つまり、一族を抑えるためにはこれしかないという道を選んでいくんですね。でもその道は子供達に受け継がれ、やはり、ハッピーエンドということかな。

薫衣の苦渋の生活。暴発する一族に「家紋(雷鳥)は胸にある」と諭すところなど、鳥肌が立つような感動が来るんです。
そして、側室とその子供が死んだとき、悲嘆にくれる薫衣に永年の思いを爆発させる稲積の姿に涙です。

第1章は序章にすぎず、2章、3章と耐えて読んでみてください。この異世界歴史ファンタジーが、決してファンタジーだけではないと気付くでしょう。そう、民族間や部族間での争い、国と国との戦争に対し、作者の願いが凝縮されていると思います。だから、感動を呼ぶんですね。
この「異世界歴史大河ファンタジー」をぜひ。
しかし、読み疲れました(笑)
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我らが隣人の犯罪 宮部みゆき

我らが隣人の犯罪 (文春文庫) 我らが隣人の犯罪 (文春文庫)
宮部 みゆき (1993/01)
文藝春秋
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<宮部みゆき、初期の名作短編集>

予定より少し早くなってしまったのですが、「毎月の宮部みゆき」二作品目を読みました。この作品は、宮部みゆきの18年前の短編集なんですけど、今、読んでも決して古くありません。
わたしは、3回目の読書です。

僕は三田村誠。中学1年。父と母そして妹の智子の4人家族だ。僕たちは念願のタウンハウスに引越したのだが、隣家の女性が室内で飼っているスピッツ・ミリーの鳴き声に終日悩まされることになった。僕と智子は、家によく遊びに来る毅彦おじさんと組み、ミリーを“誘拐”したのだが…。表題作以下5篇収録。【BOOKデータベースより】



表題作は『オール読物』推理小説新人賞受賞作です。短編にしてはやや長い(笑)。
ユーモア色の強いライトな作品です。もちろんミステリーですから、ラストのどんでん返しも効いている。妹の智子ちゃんが、とっても可愛い。

「この子誰の子」…ある雷雨の夜、赤ちゃんを連れた一人の女が訪ねてきて、「この子は、お父さんの子」と告げる。さて、真相は…。
ちょっぴり、ホラーも入っています。しかし、何といっても凄いのは冒頭の「その晩、僕の家を二組のお客が訪れた。最初のお客は雷雨だった」という書き出し。
この作品は現代にも通じる警鐘も含まれています。

「サボテンの花」…あとわずかで退職する教頭先生の悩みは六年一組の卒業研究会発表会。サボテンの超能力を研究するというのだが。
この作品は、とっても爽やか。二重のミステリも効いています。ラストは涙なんですが、そんなに容易くないだろうとツッコミも入れてしまいました。

「祝・殺人」…結婚式でエレクトーン奏者をしている女性からバラバラ殺人事件について話をしたいと相談され、迷宮入りと思われた事件を解いていく。
プライバシーという問題に皮肉も織り込まれています。

「気分は自殺志願」…散歩中の作家に「私を殺していただきたい」と男から相談を受ける。さて、困った作家は。
これまた、現代の問題「薬害肝炎」にも通じるものがあります。病気への偏見や間違った知識なども論じています。
依頼する男が「もう53歳」から「まだ53歳」に変わっていき、人生に生きがいを見出すところは秀逸。これまたとっても爽快な仕上げになっています。

どの短編も上手い、うまい。爽やかにそして、ミステリとしてもよくできています。子供や老人、病気の人に対する視線がとっても優しい。宮部さんらしい、特殊な能力を持った人にも。将来に起こる社会問題を取り入れる先見の明にも感心です。この物語で書かれていることが、今、問題になっていることにも驚きです。
名作「火車」の前に書かれた作品集ですが、すでにその才能を思う存分見せ付けている名作短編集です。

近々、新装版として文庫に再登場との噂もありますので、ぜひぜひ。
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2008年本屋大賞ノミネート作品

第5回目になる2008年本屋大賞のノミネート作品が発表になりました。
ノミネート作品は↓の10作品。

赤朽葉家の伝説悪人有頂天家族映画篇カシオペアの丘で(上)ゴールデンスランバーサクリファイス鹿男あをによし八日目の蝉私の男

わたしは7作品を読了。
個人的には、
◎『映画篇』○『八日目の蝉』△『鹿男あをによし」
なのですが、何といっても森見さんの『有頂天家族』に集まりそうだなー。
さてさて、全国の書店員さんはどの作品を選ぶのか。
発表は4月8日です。
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08図書館へ行こう(2)

図書館に行ってきました。
今回の借り出し本はこちら↓

黄金の王白銀の王ブラック・ジャック・キッド秋の牢獄タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)うたう警官

とりあえず、どれも読みたいけど、無理だわな。
積読本に手を出してしまったし、再読本もあるし…(泣)
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美晴さんランナウェイ 山本幸久

美晴さんランナウェイ 美晴さんランナウェイ
山本 幸久 (2007/04)
集英社
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<破天荒だけど素敵な美晴さん。ホンワカと温かい家族小説>

山本幸久さんの作品も久しぶりですね。
山本さんの作品は、とっても温かくなります。デビュー作「笑う招き猫」や「はなうた日和」「凸凹デイズ」「幸福ロケット」など。どの作品もちょっぴり苦くて、ホンワカと温かくなる作品ばかりですね。大好きな作家さんです。

破天荒だけど憎めない、“美晴叔母さん”登場!
美晴さんは「適齢期」の美女ながら、何かと家を飛び出すトラブルメーカー。そんな彼女が追いかけているものとは? 彼女が巻き起こすドタバタを姪の目線で描いた、ハートウォーミングストーリー。【集英社HPより】


いつも肝心な時にいなくなる、お父さんの妹、美晴さん。姪の世宇子の視線で、こんな美晴さんの破天荒振りが語られるのです。美人で結婚適齢期の美晴さん。いつも姪にとんでもない要求をしてくるんですね。
それでも、世宇子は美晴さんが好きなんですね。そんな雰囲気がビシビシ伝わってくるんです。

美晴さんもいいけど、その他のキャラもまたいいんです。1章に出てくるおばあさん(亡くなるんですけど)。従兄の自由君。弟の翔君。
お母さんとお父さん。古書店の小山田さんなどなど。それぞれが、クスッと笑わせて、世宇子と美晴さんい絡んでくるんです。

わたしが好きなのは、1章ですね。おばあさんが亡くなって、いつものとおり美晴さんが、いなくなる。美晴さんは葬儀の間中どこにいったのか。帰ってきた美晴さんは京都と奈良に行ってきたという。それはなぜなのでしょうか。いいんですね、この話。しかし、美晴さんのお母さんの葬儀に旅行とは。いきなりんお破天荒振りが、疲労されるんですが、それが泣かせるんです。

最後は美晴さんも落ち着くところに落ち着いて、とっても読後感もいいですね。
自由君には頑張れよと声をかけたくなりますが…。
幸せとばかり言い切れない、家族や兄弟なんですが、山本さんの作品の登場人物は誰もが明るいから救われるんですね。

それにしても、デンスケと野鳥の会などの小道具が頭を離れない、わたしって…。
とっても、アットホームないい作品です。
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おめでとう!桜庭一樹さん

第138回の直木賞が決まりました。
予想どおり、桜庭一樹さんの「私の男」です。

私の男
私の男

選考委員の北方謙三さんは、
「作家としての可能性が豊穣に感じられる」
同感です。まさに今後の可能性を持った才能への受賞と見ました。

固かったとはいえ、この作品を直木賞に選出した選考委員の皆さんにも評価に値すると思うのですが、どうでしょう。
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木洩れ日に泳ぐ魚 恩田 陸

木洩れ日に泳ぐ魚 木洩れ日に泳ぐ魚
恩田 陸 (2007/07)
中央公論新社
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<一組の男女が迎える最後の夜に、解き明かされる真相>

恩田陸さんの作品を間隔が空かないうちに読むことができました。しかし、この作家さん、幅広いですね。その作品群はミステリー、ホラー、青春、エンターティメントなどなど。今回は上質のミステリーです。

一組の男女が迎えた最後の夜。明らかにされなければならない、ある男の死。それはすべて、あの旅から始まった――。運命と記憶、愛と葛藤が絡み合う、恩田陸の新たな世界。【中央公論新社HPより】



明日の朝から離れ離れになるカップルが一組。そのカップルが1年前の忘れることができないある事件について、真相を探っていきます。お互いがお互いを疑いながら。

最近読んだ、数作がいずれも家族が主題であったこともあり、まさかこの作品はないだろうと思っていましたが、やられた。これもかよ。何と連鎖するんですね。
ミステリーなので、あまり語ることができませんが、これが大きな仕掛けです。
つまり、この男女はなぜ別れねばならないのか。それが、冒頭からの謎なんですね。

引越しの準備も終わり、最後の晩餐は、二人にとってある事件の真相を探るためのことだったんです。ここから、二人の視点を通じて物語が動き始めます。
何と緊迫した心理戦でしょうか。これが読ませる。物語に引き込まれていくんですね。お互いを疑っていく、駆け引き。男女の仲にあるわだかまり。家族への不信感。そんなものが徐々に出てくるんです。
そして、一夜が明けたとき、男女が取った行動は、何とやるせないものなのでしょうか。そして、過去に決別して別々の道を歩むことになるんですけど、悲しいんです。

ぐいぐい引き込まれます。途中からの悲しい二人の運命に呆然とし、そして真相がわかった時にまた呆然。
「障害があるからこそ燃え上がる恋」障害が障害でなくなった時に急激に気持ちが冷めてしまう。むしろ、嫌なところが彷彿してくる。
何という皮肉なんでしょうか。

二人の駆け引きの妙。まるで舞台を見ているように展開していきます。そこまで計算して書かれているのでしょうけど…。本当に面白かったのです。
恩田陸の上質の心理サスペンスを堪能あれ。
「夜明けは人がいちばん死にたくなる時間」二人が出した結論まで、一緒につきあいましょうよ。
緊迫の心理劇。オススメです。
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風に顔をあげて 平安寿子

風に顔をあげて 風に顔をあげて
平 安寿子 (2007/12)
角川書店
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<主人公は、25歳フリーター。元気がムクムク出てくる物語>

平安寿子さんは、広島出身の作家。今も広島で書いていらっしゃるのでしょうか?今までも数多くの家族小説を書いてきておられるようなのですが、わたしは未読。積読本もあるのですが、なかなか手に取れなかった作家さんです。
今回、初めてその作品に触れ、この作家の良さに触れました。今年は、平さんも読まなくては…。

元気が取り柄の風実が密かに抱える、弟のゲイカミングアウトより、自称ボクサーの彼との恋より、どうしても好きになれない母のことより、心配なこととは? ままならない日常に立ち向かう、すべての働く男女に贈る物語。【角川HPより】


この作品はですねー、笑えないんですよね。主人公の風美は25歳フリーター。様々なアルバイトを経験しながら、これでいいのだろうかと将来に不安を抱えている。こういう人って、今、溢れているんだろうなーと思う。わたしもそういう身内を抱えており、知人にもいるんですねー。だから、笑えないんです。

この風美の悩みは、将来の不安だけではなく、ボクサーである恋人との関係。ゲイへカミングアウトしようとしている弟の相談事。外に女を作って、家を出て、めそめそまそまそ泣いている母親のことなど、心配事は数多。

そんな風美の自分探しの物語なんですね。これだけでは、最後まで読ませることはできないのですが、優れているのは脇の登場人物のキャラが立っているんです。飲み友達の小池さんをはじめ、ボクシングジムのオーナー。ゲイバーの経営者。アウトレットで出会う三益さん。さらに惣菜屋台の林さんなど、多くの人に出会っていくうちに、自分のやりたいことを見つけていくんです。その過程が、なんともよく、自然に元気がムクムク湧いてくるんです。

自分の家族について考える主人公の言葉から引用。
「家族や家庭が欲しければ、自分で作ればいい。血だの戸籍だのの証明がなくたって、気持ちでつながってお互いを思いやる関係があれば、それが本当の家族だ」
また、自分の未来がおぼろげながら、見つかった時、
「何かしてあげたい人がいる。何かしてあげたいという心がある。誰かに何かしてあげたいという思いは、エネルギーだ」
そんな風美の葛藤と成長が共感を呼びます。

もちろん、先に書いた素晴らしい脇役達の言葉も心に響きます。そうして、風美だけでなく、弟君も元気になっていくんですね。
人生つまらないとか思っている人、仕事に先行きを感じて悩んでいる人(わたし)、家族関係で悩んでいる人、そして将来に何も見つからないと不安を感じている人、こう書くとほぼ全ての人に当てはまるとも思いますが。誰が読んでもきっと、元気が出てきます。

いい作品です。
風に顔をあげて、がんばりましょうよ、みなさん。
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1月の文庫本

少し遅いのですが、1月の新刊文庫本の注目本です。
メモも兼ねて。

陰陽師瘤取り晴明 (文春文庫 ゆ 2-16)空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)白蛇教異端審問 (文春文庫 き 19-11)だいこん (光文社文庫)
オヤジの細道 (講談社文庫 し)漢方小説かたみ歌

わたしの注目本、左から、
夢枕獏『陰陽師 瘤取り清明』
奥田英郎『空中ブランコ』
桐野夏生『白蛇教異端審問』 
山本一力『だいこん』
重松清『オヤジの細道』
中島たいこ『漢方小説』 
朱川湊人『かたみ歌』

『漢方小説』、『かたみ歌』の画像は単行本のものです。

『空中ブランコ』『だいこん』『かたみ歌』は既読。いずれも、手元に置いておきたいので、買おうか迷っています。
漠さんの陰陽師シリーズは、わたしは大好きなのですよ。このシリーズの読み直しを含めて、買おうかな。
そして、重松さんの『オヤジの細道』。新聞夕刊に連載のエッセイらしいが、どうしましょう。
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私の男 桜庭一樹

私の男 私の男
桜庭 一樹 (2007/10)
文藝春秋
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<血の繋がりとは。禁断の愛に溺れる父と娘>

レビューする本はたまりに溜まっているのに、この作品を書かざるにはいられない気分です。それほどすごかった。噂に違わぬ凄い作品でした。1章から引き込まれます。桜庭さんの筆致が冴えて、引き込まれます。うまいし、やはり凄い。この物語を最後まで読ませる力量に脱帽でした。

雨の匂いのする男、淳悟は「私の男」。9歳で震災に遭い、家族をなくした花は、たった一人の親戚という淳悟に引き取られる。しだいに父は娘を。娘は父しか愛せなくなっていた。

小説は、結婚を前にした娘花が結婚する前日、雨の匂いがする男、淳悟が婚約者と合うところから始まります。この冒頭から、惇吾と花のいろんな意味でただならぬ関係が、随所に織り込まれ、さらに過去の暗い事件が、差し込まれます。
そして、過去を遡り、展開していきます。上手いなー。花と惇吾には一体何があったのか。

読み進めるうちに、ぞわぞわする感じが。爽快感ではなく、不快感もたっぷりで、さらに暗く重い。それでもこの小説を読み進めてしまう、不思議さ。ただのノワール小説ではなく、ミステリーでもあるから読んでしまうんですね。

そして、もう一つは、過去に遡って書かれているという小説であるということです。今までにもそういう作品はありましたねー。しかし、それは事件があって、なぜそれに至ったかという説明でした。
この作品は、父と娘が辿ってきた過去と、二人の関係を壊してしまいそうな、二人の人間を殺めてしまうという話が過去に遡って書かれているんです。

しかし、それだけではないんです。父と娘しか持ち得ない、信頼関係の描写が随所にあります。第6章で父と娘が出会うシーンを見てください。血の繫がりがあったからこそ、信頼できる関係であり、禁断の関係になってしまう。間違っているけど、この二人の倫理観では、間違っていないんですね。その描写が、実に怖いんです。

異常ですよね、この関係。冒頭から淳悟という男がまんべんなく描かれているんです。結婚前夜の花に、盗んだ傘を当たり前のように渡すところ。そして、花に大事なものといって、カメラをわたすところとか。このカメラが実はすごく意味のあるものであろうとは。この辺の伏線も実に上手いんです。

ただ…、読ませるんですが、淳悟と花の血の繫がりとはというところが、分からなかったなー。そこはあえて、省略したんでしょうが。淳悟が16歳の時が描かれていないのが、少し不満。しかし、それは謎のままおいていても、このただならぬ関係は起こるべくして、起きたと感じざるを得ません。

桜庭さんはよくこの作品を書いたよなー。挑戦作であり、意欲作です。真っ向から禁忌に挑戦して、しかもここまで引き込む小説を。
乗りに乗っている作家さんです。早くも傑作をものにしてしまいました。疲れるのを覚悟して、この世界に引き込まれてください。
本当に傑作です。
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初図書館

今年、初めての図書館に行ってきました。たまりに溜まり上げた、予約本を借りてまいりました。そのそうそうたるラインナップはこちら↓

私の男風に顔をあげて三面記事小説予定日はジミー・ペイジ正義のミカタ―I’m a loser美晴さんランナウェイ隠蔽捜査木洩れ日に泳ぐ魚自転車少年記―あの風の中へ (新潮文庫)厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

あと画像にはないのですが、
「ふじこさん」(大島真寿美)と計11冊。

その中で、評判のよい「風に顔をあげて」(平安寿子)が新刊本棚にあったので、すかさず借りる。ラッキー。
しかし、こんなに借りて2週間では読めないでしょうよ、全く(笑)
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第138回直木賞候補作発表!

第138回の直木賞候補作が発表されました。
候補作は下の通りです。

ベーコン悪果敵影
私の男警官の血 上巻約束の地で

さて今回、私は「私の男」と「ゴールデンスランバー」(伊坂幸太郎)の一騎打ちとなると思っていたのだが…。なぜ伊坂さんは候補作にもなっていないの?
これでは、「私の男」のためのレースではないですか。

他の候補作に異存は無いのです。いずれも実力派。黒川さんにも、ぜひ受賞してもらいたいなー。
しかし、「私の男」でしょう。鉄板レースの感は否めない。
タイミングよく、現在、読書中だし(笑)

さてさて、あなたの予想は?発表は16日です。
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映画篇 金城一紀 

映画篇 映画篇
金城 一紀 (2007/07)
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<映画の好きな人も、そうでない人も楽しめる一冊>

いやー、面白かったです。設定が素晴らしい。映画の映画による映画のための作品。これぞ小説の力ですね。
こんな小説を書いてくれた、金城さんに感謝です。がぜん、ファンになってしまいました。今年は金城作品も読まなくてはと思います。

映画をモチーフに友情、恋愛、家族などを描いた連作短編集。
短編の表題になっている作品は「太陽がいっぱい」「ドラゴン怒りの鉄拳」「恋のためらい/フランキーとジョニーもしくはトゥルー・ロマンス」「ペイルライダー」「愛の泉」。


金城さんって、本当に映画が好きなんですね。出てくるわ、出てくるわ。この作品の中には、一体いくつの映画が登場しているのでしょうか。それほど、沢山の映画が表題であったり、話の中での話題になったり、文章の中で会話の一部になっていたりと、様々なんです。もちろんわたしは、全然知らない方が多いんですけど(笑)
ただ、金城さんって同年代か、やたらと昔見た映画が登場するんですね。何せ、しょっぱなが「太陽がいっぱい」。そして、すぐに登場するのが「大脱走」と来るんですから。
わたしは、スティーブ・マックイーンが好きでした。「大脱走」は何回見たことでしょう。カッコよかったなー。

「太陽がいっぱい」は友情の物語。映画「太陽がいっぱい」で結ばれた友情。大人になって全然違う道を歩いていく二人。再会も映画を見にいくんですね。しかし、最後に見ようとした映画を果たせなかった僕。それが、ずっと気にかかっていた。ある日、幼なじみの女性と再会。友の消息も知ることになる。
これだけでも、しびれる展開。夢であった、映画の脚本を友である龍一に見て欲しかったよなー。そして、僕は龍一の物語を紡ぐのです。これが涙、涙。そう、原作でリプリーは捕まらなかったように。

どの作品も味があって、このまま紹介すると、ダラダラと行ってしまいそうなので、とりあえず、止めておきますね。しかし、最後の作品もいいです。
「愛の泉」は祖母のために映画の上映を行おうという、家族小説。そして、上映にこぎつけた果てには、一緒になって読んでいる我々も、感動しているという、これまた素晴らしい作品です。映画上映のノウハウもあって、まるでわたしの好きな「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出す感動(少し内容は違いますが)。

さて、この上映会が、各作品とリンクしています。そして、この映画とは言わずと知れたあの作品です。いやー、キレイだったなー。未だに、衰えない人気の女優の有名作なんですけど。また、見たくなりました。
しかし、最終話だけでなく、各編も微妙にリンクしているから驚き。暴力シーンもあったりするんですが、全体の中では気になりません。金城さんは、この作品自体を映画仕立てにしているんですね。

「物語の中では、死者は当然のように蘇り、まるで死んだことさえなかったように動き回ることはおろか、空を羽ばたくことさえできるのだ」
これぞ、映画。これぞ、小説。
映画好きな人も、そうでない人もこの「映画篇」で映画の楽しみを見つけましょう。
本当に映画にいきたくなる作品です。絶品です。
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誰か 宮部みゆき

誰か (文春文庫 み 17-6) 誰か (文春文庫 み 17-6)
宮部 みゆき (2007/12/06)
文藝春秋
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<人間に潜む善意と悪意。人間は、自分以外の誰かが必要なのだ>

2008年のレビューは、宮部みゆきさんからです。宮部さんの作品は、久しぶり。おまけに各作品が厚くて、なかなか手にできない作家さんなんですよね。内容は大好きなんですよ。初期の作品から名作といわれる作品まで。厚いといいつつ結構読んでいるんですね。今年は、宮部さんの読み直しと、未読本のチャレンジをします。その最初のレビューです。

今多コンツェルンの会長の、娘婿、杉村三郎は義父の会社の広報室で働いている。義父の専属運転手の梶田が自転車に撥ねられ、死亡する。その梶田の娘が父の生涯を本にしたいから、相談にのってやってくれと義父に頼まれ、杉村は重い腰を上げるのだが。

さて、この作品、単行本発売時、あまり話題にもなりませんでした。もちろん各書評やランキングもあまり、良くなかったみたいですね。しかし、わたしはいい作品だと思います。ミステリーの要素は少ないんですが…。

この作品は、運転手がなぜ殺されたのかではありません。梶田という男の二面性の謎を娘達と追っていく物語なんです。ここが大きなポイント。だから、前半のまどろっこしいともいえる展開に、なかなかページをめくることができず、進まないんですよ。

しかし、この前半は全て後半のためのもの。梶田姉妹の相談に隠された本当の意味と、運転手梶田の人生が浮きぼりになってくるんです。そして、一人の男の真実がわかった時、姉妹の秘密も分かってしまうんです。

いい人だったという梶田。いい人とは一体どういうことなのか。善意とはそして、悪意とは。
杉村の目を通して、語られると真実は、妙に悲しいんですね。それは宮部さんがこの作品で、言いたかったこと。すなわち、人間に潜んでいる善と悪の心なんですね。

前半が進まない展開だからといって、決して読み逃しはできません。ミステリーとして、伏線を張っていますから。
梶田という運転手の家族と、杉村の家族も物語の大きな対比と伏線になっているんです。

凡庸とも思われる婿、杉村三郎に依頼を頼む、今多会長がいいんですね。ただし、決して好感の持てる人物とは思えませんが。
杉村の才能に気付いているんだろうな。誠実で義理堅く、問題に執着し、決してあきらめない杉村の探偵としての才能を。

さて、この作品の後、「名もなき毒」で再び杉村は登場します。この家族の行方と父との関係も気になるなー。
このシリーズはどこへ向うのだろうか。
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あけましておめでとうございます

新年あけまして、おめでとうございます。
今年もよろしくおねがいします。

さて、元旦は、スポーツと読書。
ニューイヤー駅伝では連覇を狙った中国電力が2位。サッカー天皇杯では、サンフレッチェがアントラーズに破れ、贔屓のチームが残念な結果に。

一年の計は元旦にあり。今年の読書計画を立ててみる。
①年間90冊目標。
②毎月1冊、宮部みゆきを読む。
③このミス日本版は5位まで、海外版は3位まで読む。

と控えめな計画。
個人的にも昨年後半、腰を痛めて、大変でしたので、無理のない一年にしたいと思っています。健康あっての読書ですものね。
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よし

Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

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