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誘拐ラプソディー 荻原 浩

誘拐ラプソディー (双葉文庫) 誘拐ラプソディー (双葉文庫)
荻原 浩 (2004/10)
双葉社
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<人生はオーケセラセラ>

いやー、楽しかった。絶妙の主人公と子どもの会話。久しぶりにケラケラ笑った快作でした。

賭け事が好きで、サラ金に借金をし、挙句にお世話になっている親方を殴って飛び出た伊達秀吉。自殺を試みるものの、その勇気もない。車に無断で入り込み眠っている少年篠宮伝助を見て誘拐を思いつく。 

実はこの少年の父親は「ボーなんとか」という会社のオーナーである。実はその筋のオーナー(組長)なのです。総力を挙げ、追う組長以下、その筋の人たち。そして、香港マフィア。それに警察。三つ巴の戦いはまさにラプソディ。
この作品はなんといっても、主人公が誘拐する伝助。まさに子どもの中の子ども。
「ふぁ~」「コケコッコー」「トレントレン」「ンガッ」「けぽ」などの言葉は最初、とっつきにくかったが、次第に効果が現われ、終わりはいい味になってきます。

伝助との逃走劇で自殺をしようとした秀吉の気持ちが「生きていりゃあ、いいこともある。悪いことばっかりじゃない」と変わってくるんです。伝助が希望を与えるんですね。秀吉の弟の面影を感じつつ。そして芽生える友情。
ラストはちょっぴり、涙ものですが、明るく爽やかに終わっています。

人物全てが個性的。そして、スーパー少年、伝助が本当にいい。
そう人生は「オーケセラセラ」でいきましょう。
ストレス解消間違いなしの快作「誘拐ラプソディー」。荻原さん上手すぎです。
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テーマ : ブックレビュー
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逃亡くそたわけ  絲山秋子

逃亡くそたわけ (講談社文庫)逃亡くそたわけ (講談社文庫)
(2007/08/11)
絲山 秋子

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<亜麻布二十エレは上衣一着に値する>


「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」この幻聴が聞こえてくると、おかしくなる。プリズン(精神病院)を脱出。なごやんと逃亡を謀る。何もないふたりが行き着いたところとは…

文庫化を機に再アップしてみました。
感想がどうも稚拙ですね(恥)。

病院から逃亡を図り、逃げるというロードノべルです。
この作品の博多弁が軽快で楽しくなる。
行く先々でのふたりの行動が愉快で、笑ってしまう。特に阿蘇山は最高です。
しかし、肝心の二人なぜ病んでいったのか。なぜ不可思議な幻聴に悩まされるのかが、不明なままで終わるので、消化不良ぎみ。

不満はあるが、作品自体は面白い。
余談ではあるが、わたし「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」って何か知ってました。
聞いたことがあるなーと考えていたらやっぱりでした。

第133回直木賞候補作だったのですが、ご存知のとおり落選されました。
落選の理由は、逃亡する二人の病理が描かれていないことだそうだ。
確かにそのとおりだと思う。もう少し掘り下げて書いて欲しかった作品です。
しかし、その後は芥川賞を受賞。
何とも不思議な独特の文章が持ち味でしょうか。
病んでいる二人の少し、ちょっと変わった逃亡記を読んでみてください。

とにかく面白い作品かなー。深くは考えないで読まれることをお薦めします。
九州縦断癒しの旅に、どうぞ。
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モノレールねこ 加納朋子

モノレールねこ モノレールねこ
加納 朋子 (2006/11)
文藝春秋
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<儚いけれど、揺るぎない家族という絆>

時間をこえて、遭遇する不思議な出来事。過去の思いが現在の自分に現われたとき、人はどんな思いになるのか。現実の中で失いたくないものと、「家族」という絆が主題の8つの短編集。

加納作品は久しぶりでした。「ななつのこ」や「魔法飛行」の初期の加納作品しか読んでいなかったので、どうかなと思って読んだのですが、良かったです。
こんなに切なくて、それでいて哀しみだけではなく、現在を前向きに生きる話、好きなんですね。読後も清々しいんですよ。

最初にある表題作の「モノレールねこ」は、家に現われたデブ猫。次第になつくようになるが、ある日、首輪があることを発見する。それから、首輪に手紙をつけてみる事に。そこから、見知らぬもう一人の飼い主との交流が始まるのだが。

「パズルの中の犬」はジグソーパズル好きの主婦が、ある日真っ白いパズルを買う事に。そのパズルから浮かび上がるものとは、幼いときに遭遇したあの光景。そこから、過去への回想が始まる。

「マイ・フーリッシュ・アンクル」は不幸な事故で家族を失った主人公。しかし、家族の中で残ったのは、毎日ごろごろしていた叔父さんのみ。二人の共同生活が始まるのだが、なぜ叔父さんがこの家に住み着くことになったのか。

特にお気に入りは「マイ・フーリッシュ・アンクル」です。不幸な事故で家族を失いますが、健気に頑張る主人公。グータラ叔父さんとの過去の思いを知ったとき、主人公共々、涙が出てくるんです。
まさにバカな叔父さん。しかし、そんな生き方を決して否定できないと誰もが思えてしまうんです。不器用なんだけど、そんな叔父さんが大好きなんです。ラストも爽快です。

すべての作品が粒揃い。日常の中で起こる不思議な出来事は、とっても切なく愛おしいものばかり。珠玉の短編集です。いつか読み返したい作品です。いいなあ、加納作品。
ぜひぜひ。
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夜明けの街で 東野圭吾

夜明けの街で 夜明けの街で
東野 圭吾 (2007/07)
角川書店
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<不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた>

渡部は派遣されてきた秋葉とバッティングセンターで会う。それが始まりだった。次第に親密になる渡部と秋葉。しかし、秋葉には殺人事件の最有力容疑者。もう少しで時効を迎えるというのだが。

東野さんの新作は、何と不倫小説でした。しかし、この不倫小説はどうも中途半端な気がしました。ドロドロでもなく、強いて言うのならベタな不倫小説。
純な恋愛小説ではないので、仕方がないとは思いますが、それにミステリーを絡ませているのですから。

渡部が秋葉と不倫することになって、のめりこんでいく描写が丹念に書かれています。
殺人事件はどう絡まっていくのかなどと、思って読んでいたのですが、期待したほど、絡まりません。むしろ、不倫をする渡部の、心理描写の方に重きを置いてるんですねー。これがわたしにとって、いただけませんでした。
妻も子もありながら、それでも秋葉との仲が深みにはまっていきます。クリスマスやバレンタインデーなど記念日には、友人を巻き込みながら、可笑しいほど嘘をついていきます。

男と女ですから、当然ありなんですけどね。いつまで書くのかなーと思いつつ読んでいました。本当は秋葉側からも読んでみたかったのですけど、殺人事件の容疑者というシチュエーションですから無理なんですよね。

結局、この作品は、男性からの不倫を描いた作品で終わっているのですよね。
秋葉の家族関係も、「不倫」が基で壊れてしまっているんです。そうした殺人事件の容疑者と渡部の心理描写は、さすがだと思います。
しかし、不倫描写が長すぎるんですね。これがベタな不倫小説といった理由です。

しかし、救いは最後の番外編。本編で渡部に忠告する友人の新谷の告白なんですが、これが一番東野さんらしい。
この告白がなかったら、この小説は全く生きなかったような気がします。番外編に救われました。

新刊の度に新しいものに挑戦している、東野さん。わたしは、この1冊を読んで、良かったという気持ちに変わりはありません。
意欲作ということにしときましょう、今回は。
次回作に期待します。

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ジャンル : 本・雑誌

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神田川デイズ 豊島ミホ

神田川デイズ 神田川デイズ
豊島 ミホ (2007/05)
角川書店
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<花束になんかなりたくない>

貧乏アパートに集っては、無駄な日々を過す男子大学生3人。「このままではいかん!」。何かを始めようとして選んだのは、お笑いだった。(見ろ、空は白む)
田舎から上京して女の子が出会ったのは、政治サークルの先輩の優しさと素敵な笑顔。孤独を感じながら不器用に生きる少女。(いちごに朝露、映るは空)
など、6つの話。男女のキャンパスライフを描く。

来たー、豊島ミホが大学生の男女の話を書きました。とすれば、豊島さんの出身大学のあの大学かなー。
といっても、この短編集、きらびやかでも華やかでも、爽快でもない。
ここに描かれている男女は、貧乏で才能もなければ、夢ややりがいもあるわけでもなく、それでいて孤独なんですね。
それはこの本のタイトルである程度、予想がゆくと思いますけど。

決して大学生活は楽しいものではないんですよね。ここの登場する男女の思いは誰もが感じてきたことなのではないのかなー。
例えば、田舎から出てきて、友だちもできず、孤独を感じたこと。何をしていいか見つからず、夢を探した時期とか。
そういう時期をわたしも思いだしました。ただ、何となく日を過ごした日々。そういう時期を思うと、齢を重ねると、ただ懐かしく、貴重な時間だと思います。決して、あの頃に帰りたいとは思いませんが…。
若者の特権なのかもしれませんね。

この大学生が可笑しい人ばかりなんですね。
わたしが一番、笑ったのは「リベンジ・リトル・ガール」の角田君。
夏休みの課題をやっていない言い訳が可笑しい。何せ「カブトムシの交尾を見ている間に夏休みが過ぎた!」
その後も、カブトムシネタを色々考える始末。
あまりにばかばかしくて、こういうのも使えるかな。

ちゃんと、温かくさせ、希望を持たせる手腕は豊島さん、さすがだなー。
自分のあの頃を思い出す、涙あり、笑いあり、希望ありで、とっても満足な1冊です。
「カブトムシが…」頭にこびりついて、離れない(笑)

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

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カシオペアの丘で(下) 重松 清

カシオペアの丘で(下) カシオペアの丘で(下)
重松 清 (2007/05/31)
講談社
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<あなたは、自分自身を許せますか?>

カシオペアの丘で再会を果たす四人。それぞれの思いが溢れる。しかし、シュンの病気は思いのほか、進行が早く北都の町で倒れてしまう。捨てた町、倉田が支配する町で入院をするシュン。東京に帰ることを願う家族。それぞれの思いが溢れ出す。

上巻の感想で書いたのは、この作品のテーマが「死」を扱ったものであるということですね。しかし、下巻を読んで、間違いであることに気付きました。この作品は死を題材にしているけれど、最も大きなテーマは「過去を許せるのか」ということです。

この作品を読み終えたとき、それぞれの読み手の胸に自分自身の過去について振り返り、過去を許せるのかと問いかけてきます。
シュンが背負った、トシへの思い。娘を失った川原さん夫婦。そして、ミウさんまでも過去のある事件にずっと縛られながら、生きています。
シュンの残り少ない時間の中で、それぞれが過去と向き合い、それぞれが憎んでいたことや、引け目に感じていたことなどを消化していきます。
結局、「自分自身を許すことができるのか」ということがクライマックスなのですね。

と、これはこれでいいのですが、作品自体も読ませるし、随所に涙も誘われます。全く上手いと思います。
ただ、二つ敢えて注文を。
一つは、登場人物達が、あまりにも悲劇を背負って生きているということです。あまりにも多すぎるのでは…。逆にトシやユウちゃんや恵理さんが、何と健気であり、たくましくも見え、救われるんですね。わたしは、こういう登場人物に魅かれました。それも作者の狙いなんでしょうけど。
もう一つは、それぞれの過去をここまで明らかにすることが、贖罪だとは思えないんです。シュンとミッチョの過去を恵理に教える必要性がどうしてあるのでしょうか?そこがどうしても納得できませんでした。

などと、書いてきましたが、いい作品ですよ。
冒頭のページからずっと最終章まで続いていきます。妙に星が見たくなるから不思議。
みなさん、満点の星を見たことがありますか?
幼いときに見た田舎の夜空が恋しくて、星を見に行こうかなと思ってしまいました。だが、わたしのことだから、プラネタリウムで済ますのだろうなー。

この作品を読み終えたとき、それぞれの読者にいろんな思いが溢れると思います。贖罪とはどういうことか。それぞれが、考えていけばいいんですね。
色々、書きましたが大傑作には間違いありません。だってここまで、のめりこんだ作品はなかったですもの。
良くも悪くもぜひぜひ、読まれることをオススメします。

あっ、書き忘れた。エルドラドを見てみたいなー。今もあるんでしょうかね。調べてみようっと。

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チルドレン 伊坂幸太郎

チルドレン (講談社文庫 (い111-1)) チルドレン (講談社文庫 (い111-1))
伊坂 幸太郎 (2007/05/15)
講談社
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<俺たちは奇跡を起こすんだ>

家庭裁判所の陣内、同僚の武藤、友人の鴨居、そこで出会った盲目の青年永瀬。永瀬の側にいる盲導犬と優子。そして家裁で担当をする少年達。陣内をめぐる5つの物語。
この作品の感想は伊坂さんらしい作品だなーということ。とってもほんわかして、優しい気持ちになれる作品集です。殺人事件がおきるわけではなく、日常的、非日常的あわせた陣内を巡るエピソードが書かれています。

「陣内のまわりの友人から見た陣内という男の話」といった方がいいかもしれません。陣内のキャラクターを浮かび上がらせています。この男、とっても破天荒だけども憎めない。人の迷惑は顧みない、唯我独尊的性格に周りは迷惑している。でもとってもまっすぐな性格なんです。

「俺たちは奇跡を起こすんだ」
「そもそも大人が恰好良ければ、子供はぐれねえんだよ」という陣内。そんな陣内の活躍を描く「チルドレンⅡ」がわたしのお気に入り。陣内たちがライブで奏でる「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」に涙。

テーマは「父と子」でしょうか。それぞれの作品が父と息子、娘の関係を描いています。とってもいい作品集であることは間違いないのですが…、この作品は短編集なのだが長編であると伊坂さんが書いているのですが、それがさっぱりわからない。どこがどう繋がっているのか。確かに繋がっているのはわかるのですが、一つの話にはなっていないような。これはよく分かりませんでした。

とっても伊坂さんらしい作品です。長編で感じる一つひとつにピタッとはまっていく、ジグソーパズルのような爽快感はなかったけど、いい作品には間違いありません。きっといつか再読する作品でしょう。
だって謎が解決していないんですよ、わたしの中で。それほど伏線があるんですよね、きっと。
また陣内に会いたいなー。

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顔のない敵 石持浅海

顔のない敵 顔のない敵
石持 浅海 (2006/08/22)
光文社
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<何とテーマは「対人地雷」。しっかり、ミステリーしているから驚き>

1993年、カンボジア。NGOの坂田は、対人地雷の除去作業を行っていた。その時、突然の爆発音が。誰かが地雷を踏んだ。そこには、頭部を半分吹き飛ばされたチュオンの死体が…。なぜ彼は、立入禁止区域に入ったのか?事故か殺人か?「顔のない敵」。
地雷をテーマにしたミステリー6話と、処女作短編1話。

このミステリーは、対人地雷がテーマです。
いろいろ、論議があると思いますが、このテーマに挑み、ミステリーとして仕上げた作者の力量は、なかなかだと思います。

「地雷原突破」「顔のない敵」のように、直接、殺人の凶器として地雷が使われるところがあったりもします。残酷な殺人かもしれませんが、わたしはそれはそれでありかなと思いました。

「利口な地雷」では近未来の地雷の考え方なども、出てきます。
何せ、放っておいたら、自然になくなってゆく地雷なんですから、防御するのは打ってつけだとか。もし日本が戦争に巻き込まれえたら、こんな地雷も開発されるのかなと、少々、怖くなってきました。

「未来へ踏み出す足」は多大な危険を伴う除去作業への願いかもしれません。最近、自由自在に動ける8本足のロボットが開発されたとニュースで、話題になっていましたけど、本作では百足型ロボットです。なんとタイムリーなんでしょう。
こんなロボットがあれば、被害も少なくなるのに。

わたしは「トラバサミ」が一番皮肉で、面白かった。何せ、地雷の恐ろしさを分からせるために、地雷の替わりに、トラバサミを仕掛けるというストーリー。それを真剣に見つけ出そうとするのだから、すごい。

「銃声でなく、音楽を」では、地雷除去作業をするNGOなどの活動の裏側も垣間見れたような気がします。

作者は地雷というものの、現状を見つめ、メッセージも作品に残しています。そして、将来的に地雷がなくなることを希望しています。
こんな、おろかな無差別兵器を生み出した人間の馬鹿らしいことといったらありません。

最後の1編は処女作。エレバーターの中の殺人です。
さすがに、まだ若い作風。しかし、この作者特有と気付いたんですが、ディスカッション・ミステリーの体裁をきちんとなしています。そうした意味では紛れもなく石持作品なのでしょう。

とにかく、難しいテーマに挑んでミステリーとして仕上げたこの作家、わたしは買いです。
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うつくしい子ども 石田衣良

うつくしい子ども うつくしい子ども
石田 衣良 (2001/12)
文藝春秋
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<やりきれないが、前向きに生きる少年に魅かれる>

石田衣良という作家は、こんなに幅広かったかなと、「IWGP」のイメージが大きすぎて、大変、驚かされた作品です。
この作品のベースは、酒鬼薔薇事件。それだけに、テーマとしては非常に重い内容でした。しかし、この作品を活かしているのが主人公の少年なのです。

三村幹生(ジャガ)は中学年2年。ある日、少女の猟奇的殺人が学校の裏山で起こる。そこから幹生の生活は、一変するのだった。

殺人事件とともに、変わる生活。それは、痛々しいほどです。マスコミに追われ、夫婦の離婚を強制され、学校にも行けない。そんな加害者としての立場を克明に書いていきます。主人公の視点と新聞記者の視点を巧みに織り交ぜて。
そして、この少年が学校に復帰し、浮かび上がる真実。紛れもないミステリーなんですよね。

そして、物語を活かしているのが、幹生のともだち。長沢君とはるき。それぞれがクスノキに集まり、しだいに打ち解け合う「クスノキの集会」になっていくんですね。そして、お互いの秘密を話していく。友情の話としてもいいんです。しかし、そんな友情にも妨害が…。

新聞記者の視点は必要なのかと思いましたが、これはちゃんと用意されていたんですねー。これもうまい。

では、どこが不満なのかといわれると、やはり、作品の重さと被害者の家族はどうなのかと考えてしまったからです。被害者の家族の描き方があまりに薄い。しかし、それが主体ではないので仕方がないのかもしれませんが。

この作品は主人公の前向きさと強さに魅かれます。不幸な事件を受け止め、前向きに生きていきます。強いんですよ。最後もジーンときました。
「ジャガ頑張れ」と言いたくなるんですよ。

少年犯罪、いじめ、友情、家族。いろんなものが詰まった小説だと思います。
石田衣良さんには失礼ですが、この作品を読んで見直しましたもの。読ませます。

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ジャンル : 本・雑誌

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さくら 西加奈子

さくら さくら
西 加奈子 (2005/02)
小学館
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<Your Love's put me at the top of the world>

桜が散る季節にその犬と出会った。だから名前は「さくら」。長谷川家と愛犬さくらと過ごした日々がゆっくりとゆっくりと描かれていく。

最初、この作品は愛犬さくらを中心にした家族、動物小説と思っていました。それがまんまと外れてしまいました。
長谷川家の歴史が少しずつ少しずつ、描かれていきます。

格好良すぎて、聡明な兄。誰よりも可愛くて美しい妹。優しい父、美しい母。そんな長谷川家がだんだんと崩れていきます。
崩れていくまでが結構長いので、中だるみの感がありますが、辛抱して読み進めてください。

前半のミキに性教育を施す、お母さんの言葉が非常に感動します。
最後は「ミキ、生まれてきてくれて、有難う」と結ぶんですが、これが、いいんですよ。

兄の恋人矢嶋さんからの手紙が来なくなってしまいます。そこら辺りから物語は急転回に。本当にビックリしてしまいました。
兄の事故から崩壊していく家族。そしてすべてが分かってしまう主人公、薫。母はどんどん、太っていき、アルコール中毒、父は精神的に疲れ、家を出てしまう。
しかし、それも日常の中に横たわっているんです。それを見つめているのが、愛犬さくら。

父が帰ってくるところから、物語は始まります。それにあわせて、主人公が帰省します。
そして、ラストはどきどきも。
いい作品です。本当に上手い作家さんです。
真実が明らかになったとき、涙が…。どうしようもない、やるせない気持ちになります。
しかし、ちゃんとラストでこれからの長谷川家も示唆しており、悲しい物語に希望があるんですね。

本当に作家、西さんの上手さなんでしょうね。どんな出来事も日常の中にあるというメッセージ。だからこそ、淡々と丁寧に長谷川家の出来事を書いていったんですよね。
そして、キャラがいいんです。長谷川家はもとより、父の友だちのサキコさん、ミキの友だちの薫などなど。それぞれが物語にしっかり絡んでいます。

ぜひ、この家族小説を読んでください。読み終わった瞬間、ため息が出てしまうような作品であることは間違いありません。

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本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

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