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三月は深き紅の淵を 恩田 陸

三月は深き紅の淵を 三月は深き紅の淵を
恩田 陸 (2001/07)
講談社
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<幻の本をめぐる4つの物語>

多数の方にオススメいただいた本です。
いわゆる三月シリーズというそうで、様々な作品とリンクしています。

この世に七十部しか存在しないという匿名作家の私家本『三月は深き紅の淵を』。人に貸すならただ一人、たった一晩だけという奇妙な条件がついた、「幻の本」をめぐる4つの物語。「三月は深き紅の淵を」という本の内側とこれをめぐる外側の本書。入れ子の構造が謎を呼びます。

結局、どれが本当の『三月』なのかがよく分からなくなるのです。この本自体が「三月」ですし。
恩田陸さんは小説、物語、本が本当に好きなんだなと伝わってきます。だって、冒頭からロアルド・ダールの映画にもなった名作からだもの。
そんな恩田さんが仕掛けた罠と迷宮の世界をぜひ、堪能してください。

恩田さんの、読書遍歴も分かったような気がして、すごく嬉しい気分にもなれます。恩田さんは、小説、物語をとっても愛しているんですねー。

第1章が英国風ミステリー、第2章がロードノベル、第3章が本格ミステリ、第4章はSF仕立てなのですが…。個人的には第2章と第3章が非常に好みです。
ただし、わたしは第4章の結末というか分かりませんでした。もう少しストレートに教えて下さいよ。理瀬の物語は独立してもいいのでは。
その解決編は別の作品に繋がっているらしいいのだけれども。
第4章が納得いかないのです。

はたして、「三月は深き紅の淵を」の存在とは。そうあるんでしょうねー。しかし理瀬との関係は何なのでしょう。
どなたか教えてください。第3章からは一気読みでした。
ずるいです、上手すぎます、恩田さん。
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カシオペアの丘で(上) 重松 清

カシオペアの丘で(上) カシオペアの丘で(上)
重松 清 (2007/05/31)
講談社
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<帰ろう、あの丘へ>

北海道北都の街、トシ、ユウジ、ミッチョ、シュンの4人組は、「カシオペアの丘」という遊園地を作ることを夢見る。それから30年、シュンは癌に冒され、余命数ヶ月。ミッチョとトシは夢見た遊園地を経営しているが、それも廃園寸前。そして、シュンは、ある事情で離れざるを得なくなった、カシオペアの丘に帰ることに。

すごい作品に出会いました。
もう、重松さんは「その日のまえに」以上の傑作は、望めないだろうと思っていたのですが、上巻を読んで、これは大傑作ということを確信しました。

ストーリーは前述のとおりなのですが、もう一つの話として絡むのが、娘を妻の不倫相手に殺される事件の被害者、川原さん。いきなり妻に裏切られ、娘が殺されるという喪失感に直面している。

シュンは、祖父千太郎が、経営する北都の町で起こした事実を知ります。トシの家族を死に追いやったこと。また、トシがある出来事によって、車椅子生活を送ることになったのは、自分の罪と感じ、北都を離れて、東京で暮らしています。そんな彼が、癌に冒されているとわかり、余命幾ばくもない事実の中で、カシオペアの丘に帰る決心をします。

シュンの病気を通して、友人達への思いや、家族の思い、そして、シュンを通じて語られる自分の人生への思いは、命の尊さと今を生きることが、大切だと重松さんは書いているように感じます。
それだけではなく、家族とは何かということも教えてくれます。

いろんな場面で、いろんなことを思い、章ごとにのめりこむ展開と何度も読み返したい印象的な会話と文章。
そして、章ごとに泣いてしまう作品などめったにありません。

さて、30年経ち、廃園寸前の「カシオペアの丘」で再会を果たす、四人。そして川原さんと妻との関係は。死期迫るシュンと祖父の千太郎。
健気に残りの生活を苦しまず、迎えさせてやろうとするシュンの家族。
いろんな思いがカシオペアの丘に詰まっています。

もう一つ、この北都の町の背景になっているのが、石炭の街だったということ。エネルギー政策の転換と、それに付随する事故。誰が悪くて、誰のせいなのか。シュンと祖父、川原さんと妻、そしてトシとシュンを通じて、憎むことと、許すこととは一体何なのだろうと考えさせられます。

とにかく、これ以上書くと下巻の感想がなくなりますので、この辺で。下巻に続きます。

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ジャンル : 本・雑誌

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ホームタウン 小路幸也

ホームタウン ホームタウン
小路 幸也 (2005/08)
幻冬舎
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<家族は、できあがるものではなく、つくっていくもの>

柾人は幼い頃の両親の死がトラウマとなって生きている。たった一人の妹、木実が失踪した。そして木実の婚約者も行方不明に。デパートの「特別室」に勤務する柾人が二人の行方を調査する中から、浮かび上がる事実とは…。

この作品は快作といっていいでしょう。作品自体はこじんまりとまとまって、読み終わった後も結構、爽快感がもてます。

悲惨な殺人で家族を失った兄と妹が時間がたった今、新しい家族と共に暮らしているというところが本作品の大きなキモ。その家族も血が繋がったものではなく、特殊な仕事の中から、追い込んでしまった家族と同居しているのです。祖父と高校生の女の子という家族。
そして妹も婚約者という新しい家族をもとうという矢先の失踪。家族を追い求めてなぜ妹は失踪したのかが大きな謎なのです。

そして、柾人は二度と帰らないと思っていた故郷、旭川に帰ることになります。初めて過去と対峙することになるのです。その旭川で育ててもらった人たちが癖がありつつ、実にいい。「特別室」のかくさんという人物も謎めいていていい味出しています。

話立ては実に面白い。さくさく読めますが、いかんせん話が小粒の感は否めません。そこらあたりが不満なのですが、この作家、いつか代表作を書くのではないかという予感あり。

「家族は、できあがるものではなく、つくっていくもの」
この言葉が心に響きます。家族をテーマにし、謎を追う特殊員。シリーズものの予感も。シリーズ化されたら当然読みます。
この作者、注目なのです。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

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赤い指 東野圭吾

赤い指 赤い指
東野 圭吾 (2006/07/25)
講談社
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<この家には、隠されている真実がある>

前原昭夫は認知症の母を抱え、妻、息子の四人暮らし。ある日、至急帰ってきてくれと妻から電話がかかる。帰宅するとそこにあるのは、少女の死体。悩みながらも隠蔽しようと決意する昭夫。そこから前原家の悲劇が始まる事に。

重かったです。テーマは親と子。老人性認知症を抱えた親ということで、今や高齢化社会のテーマになり、福祉行政が問われてきているときです。そして、数多くの少年犯罪が起こっている社会の中で、作者はこの作品に挑んでいます。

息子の直巳が犯罪を犯したとき親がとる行動は、死体を遺棄し、息子をかばう事だったんです。明らかに証拠となる痕跡も残し、じわりじわりと追い詰められる夫婦が取った行動は、許しがたいものだったのです。

そして、刑事、加賀恭一郎は家族自身の手で真実を明らかにする事が救済になると、この家族の真実にせまっていきます。
そして驚愕のラスト。

息子の直巳と昭夫、母政恵と昭夫、直巳と妻八重子との関係、政恵と娘の春美。刑事加賀と死の床についている父隆正。育ての親の隆正と松宮との関係。どれもが親と子を描いています。
親が高齢化した時、あなたならどうしますか。この小説は現代社会が抱える、問題を投影し、あなたならどうするのかと問いかけているような気がします。

けっして良い親だとはいえないけど、加賀の父や政恵のように一途に生きてみたいなー。そして、親と子の関係は隆正と加賀の関係ですね。お互いが分かり合える親子の関係。いつまでたっても親は親であり、子は子であるならこんな関係がいいですよね。

テーマは重いのですが、一気読みさせる力量はさすが。帰宅した昭夫が見た死体からノンストップで物語は動き始めます。
ラストは泣かせます。最後の最後まで。
さすが稀代のストーリーテーラー東野さん。いいですね、この作品も。
そうそう、加賀シリーズは現在7作出ているそうなのでおさらいをしなくてはと思っています。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

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ナラタージュ 島本理生

ナラタージュ ナラタージュ
島本 理生 (2005/02/28)
角川書店
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<お願いだから、わたしを壊して。あなたにはそうする義務がある>

高校卒業から1年。「母校の演劇を手伝って欲しい」と葉山先生から頼まれる。葉山先生こそ泉にとってかけがえのない男性だった。しかし、葉山の気持ちを知り、別れる決心をする。そうした時、演劇を手伝ったことが縁で、小池という大学生と付き合うことになるが泉の気持ちは葉山先生から離れられない。

心が痛く、切ない。こんなにこれでもかと攻めて来る小説にめったに出会えません。あきらめかけてはまた芽生えてしまう恋心。そうした泉の気持ちと行動に涙します。

浴室で葉山の髪を切るシーンでは息苦しいようなドキドキ感と切なさ。別れの駅のシーンで泉が再び帰ってきて、号泣する場面。そして、年を経て偶然であった葉山の知人との話のラスト。

お互いの気持ちが分かり合えたときの泉の狂おしいばかりの言葉。これで最後だからもう会えないからと切ない気持ちが一気に噴出します。「わたしを壊して。あなたにはそうする義務がある」

小池とのつかの間の恋。葉山に気持ちが行っている小池は泉を引き止めるため、強引になってきます。最初の方のとってもいい人だった小池は泉との恋でだんだん性格が悪くなるんです。これも若さを描いています。

もう一人のダメ男、葉山。基本的に優しさがある人なのでしょうけど、自分の気持ちとは裏腹に、ある事件が理由により妻への思いを断ち切れない。だったら、泉に電話なんかしなければいいのにと思いますがこれも恋のなせる技。泉が必要なんですね。ずるい男ですが、なんとなくその気持ちも分からないでもない。

恋をし、焦がれる思い。待つ思い。そして別れの悲しさの中で、それでもあの人しかいないと思う泉の気持ち。切ないです。

恋の本質を切なく書ききった、島本さんはとんでもない才能をもった作家です。
すごい小説です。わたしにとって、こんなに心に残る恋愛小説は初めてです。

恋をしている人、これから恋をする人、恋をしていた人、恋をしたい人、全ての大人に読んでいただきたいなー。この作品の中にきっとあなたもどこかにいると思います。
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ハルさん 藤野恵美

ハルさん ハルさん
藤野 恵美 (2007/02/28)
東京創元社
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<相手を思う気持ちが強ければ、どんなに遠く離れても関係は変わらない>

人形作家のハルさんは、最愛の妻、瑠璃子さんを病気で亡くし、一人娘ふうちゃんを育てるため、決意を新たに頑張ることに。しかし、それがなかなか思うにままならない。天国の瑠璃子さんが頼りの綱。そんなふうちゃんとの成長の過程で起こる様々な謎。

上手いですねー、この作者。冒頭から結婚式に向うハルさんから始まります。もちろんおさな結婚するのはふうちゃんなのだけれど、その回想シーンが謎となって一話ずつ、形成されているんです。

人形作家のハルさんは、まだ売れていない状態で、一人娘を育て上げます。しかし、それは決して、生易しいものではないんですね。それは、ハルさんの性格も影響しているんです。どうにも頼りげなく、人付き合いには苦手。挙句の果てには、天国の瑠璃子さんが手助けに来てくれます。「消えた卵焼き事件」のふうちゃんの可愛さといったら。

そして「夏休みの失踪」では小学校のふうちゃんの冒険。中学生になったふうちゃんが経験するの別れを描く「涙の理由」。
高校生のふうちゃんがバイト先で、ケガをし、お客さんの忘れたものをハルさんが届けにいく「サンタが指輪を持ってくる」。
そして大学生になったふうちゃんの里帰り中に起きる、人形の紛失事件を描く「人形の家」。

話が進むにつれ、ふうちゃんの成長とハルさんの生活の変化が伴ったものとなっています。
そして、最後は冒頭シーンに帰っていくのです。もちろん、ふうちゃんの結婚式ですから、花嫁の父の心境もあったりで、涙もの。

謎そのものは、はっきりいって、ビックリするものではありません。天国の瑠璃子さんが謎解きをします。頼りないハルさんをきっちりサポートするのです。

ミステリーなんですけど、家族の話なのです。
ハルさんとふうちゃんの会話に父親の愛情と娘が父を思う気持ちが伝わってきます。そして、それはラストに増幅されていくんです。
いいなー、この作家。こんなに優しい気持ちになれるミステリーも、当分なかったよなー。
しいて言えば、加納さんに似ていますかねー。わたしは、加納さんも好きですから当然、この作家も好みです。

ぜひ、この家族の年代記を読んでください。
優しい気持ちになれることは間違いありません。
それにしても、ミステリ・フロンティアはレベルが高いですね。
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ガール 奥田英朗

ガール ガール
奥田 英朗 (2006/01/21)
講談社
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<30代、OL。文句ある?>

30代のOLを主人公にした5つのストーリー。おしゃれ、将来、結婚、子どものこと、また会社で働くことについて揺れるOLたちを活き活きと描く。

本当に奥田さんの引き出しはいくつあるのでしょう。「マドンナ」で40代の会社で働く男たちを書き、今度は何と30代OL。
思いのほか、現代の30代OLを描いていると思います。と、いっても男の立場から見ると、よく分からないのですが…。奥田さんが書いたというのがすごい。

おしゃれやこの年代の彼女達の気持ちなど、よくもまあ、ここまで書けるなあと感心する事しきり。何でも奥田さんは女性ファッション誌しか資料にしていないのだとか。てっきり、OLに取材をおこなったのではと思っていました。それだけ鋭いんです。

ここで描かれるOLたちは、仕事、家庭、子ども、ライバル、結婚などで悩んでいます。奥田流のさまざまな人間に注がれる細やかな愛情が、会社の中での彼女達にも注がれています。あるときは切れたり、またあるときはライバルに自分と同じものを見つけたとき。奥田さんが彼女達を活き活きと描いています。そして皆がみな、とっても元気で可愛い。女性のみならず、男性も見習わなくてはいけないとそう思います。何で男性はくたびれているのでしょうね?
そして、万事が解決ではないのですが、最後は何かしら、元気が出てくる。
人間って決して捨てたものではないし、会社というものもまんざらでもないと思ってくるから不思議。

奥田さんは、「ダ・ヴィンチ」のインタビューで40歳、30歳と書いてきたので20歳の新人もとの質問に、「ルーキー」も悪くないといわれていました。
ぜひ三部作、実現して欲しいなー。

とにもかくにも、奥田さんが描く会社小説は読ませる。「マドンナ」と対比しながら読み進める事をオススメします。
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情けは人の死を招く 射逆裕二 

情けは人の死を招く 情けは人の死を招く
射逆 裕二 (2006/06)
角川書店
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<情けは人の為ならず、めぐりめぐりて、己が身の為>

半年前に出て行った彼女を追いかけるため、北海道へと向っていた斉藤和樹。しかし、10年前、あなたに助けられたという、皆井順子に出会う。運よく、乗るはずだった飛行機が墜落。運命的な出会いを経て、湯河原のリゾートマンションに行くことになった二人。そのマンションで殺人事件が起こり、二人は巻き込まれていくことに。

久しぶりに、バカミスというか、ライトミステリというか、そんな作品を読むことになりました。作者は、横溝正史大賞優秀賞を受賞した方です。女装探偵、狐久保朝志シリーズの第2作目。

本当にバカミスなんで、どう評していいのか分からないんですけど、気分次第で結構、楽しめました。
主人公と皆井順子が出会うシーンから、ありえないんですね。
10年前、車のトラブルでヤクザに絡まれていた女性を救った主人公。探していた恩人との運命的な出会いを果たすが、この皆井順子という女性の謎。

もう一つは、プイと部屋を出て行った、前彼女の取手モトコ。この彼女は、なぜ、出て行くことになったのか。これが2つ目の謎。

そしてリゾートマンションで起こる二つの殺人事件。目撃者は主人公。
この何ともおかしな、住人たちの中で一際、変な女装趣味の怪人、狐久保。どうやら彼は元検事。警察の捜査にも協力を惜しまず、ましてや捜査に深い関わりを持っている。

こうしたバラバラの話がミステリーなら、一つに収斂していくのですが、このミステリは違います(笑)
それぞれの話が繋がらない。しかし、どれもがミステリなんですよね。
しかし、ライトすぎるかな。まっ、良しとしましょう。
これだけ、繋がりのないミステリも珍しいと思って読みました(笑)

トリックもさほど、期待しない方がいいかもしれません。では謎解きの醍醐味はどうかというと…、これまた疑問。
この作品はとにかくライト感覚で読むことをオススメします。

「情けは人のためならず」というのがテーマです。情けをかけることは人のためにはならないという意味にとっていたのは、わたしだけでしょうか。この作品で初めて知りました。
「情けは人のためではなく、自分のためだということを」そうした、仏教感やキリスト教の世界観も出てきます。しかし、突っ込んだものではないのですけど。それなりに、詳しい作者だとわたしはにらんでいますが。

とってもとっても、ライトで何も考えずに読むことをオススメします。
と酷評しつつ、デビュー作に食指が動くわたしなのです。
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よし

Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

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