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風に舞いあがるビニールシート 森 絵都

風に舞いあがるビニールシート 風に舞いあがるビニールシート
森 絵都 (2006/05)
文藝春秋
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<不器用に、頑なに、懸命に生きる姿が感動を呼ぶ>

第135回直木賞受賞作品です。この作品を読んだ人のほとんどの人が、その上手さに感心すると思います。
不器用だけれども、頑なに、懸命に生きる。世の中には様々な人が、懸命に生きています。わたしはどうか…。懸命とはいえないが頑なには生きているなー。そんな、あなたやわたしが読むとこの作品で、さらに頑張ろうと思えます。

「器を探して」…ケーキ職人の秘書の話。才能豊かなケーキ職についたものの、わがままで嫉妬深い先生に愛想を尽かしつつ、離れられない弥生。
「犬の散歩」…捨て犬保護のボランティアの恵利子。その餌代のためにはスナックのホステスまでして、里親探しに奔走する。
「守護神」…レポートの代筆をするというニシナミユキ。祐介は代筆を依頼するが、あえなく断られる事になるが…。
「鐘の音」…仏像修復師の本島。人の付き合いとまじめさがあり、師匠からも突き放されている。そんな彼が25年ぶりに訪れた場所は。
「ジェネレーションX」…苦情のお詫びにと一緒に回る事になったのは、新人類、石津。携帯で連絡しているのは、10年ぶりに約束しているある計画の事だった。
「風に舞いあがるビニールシート」…国連の難民救済に奔走するエド。そんなエドに魅かれ結婚した、里佳。難民救済の最中、非業の死を遂げるエドに里佳は立ち直れない。

という、6話があります。
わたしが好きなのは、「守護神」「ジェネレーションX」「風に舞いあがるビニールシート」。
「守護神」の強がりで、良いカッコしてレポートを依頼するが、人一倍信頼され、頑張ればできるという祐介の本質を見抜く、ニシナミユキ。自分でもきづいているんですよね、祐介自身も。
「ジェネレーションX」は世代を超えて、携帯電話のやり取りから野球の試合を成立させるための必死になる青年との交流を描きます。こ、これは、重松清ではないですか。切なくて、最後はほっと安心させられ、和む結末です。人間捨てたものではないと思うお話です。
そして表題作「風に舞いあがるビニールシート」。はっきりいって、エドのひたむきな気持ちには惹かれるが好きではないです。言葉の端々に「難民が置かれている状況の中で、ぬくぬくと生きていること」の罪悪感。体験している人たちにしか、分からない事かもしれません。それなら里佳を巻き込むこともしないで欲しかった。
でも、不満と思いつつ、エドのそういう一途な気持ちに魅かれていることがわかった、里佳が立ち直ってゆく姿に感動します。

どの話もひたむきに、生きる姿を淡々と書かれています。静かに温かく見つめる作者の目線。みんな懸命に生きている。そう、自分も懸命に生きよう、いや生きているのだ。だから、人生楽しく面白い。そんな気にさせられる、作品です。
うまいです。上手すぎる作品に仕上がりました。今や風格のベストセラー作家、森絵都さん。
今後の作品にも目が離せません。
静かな感動をもらいました。
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テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

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永遠の出口 森 絵都

永遠の出口 永遠の出口
森 絵都 (2006/02/17)
集英社
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<こんなに懐かしく、胸が痛くなる小説はめったにない>

主人公紀子の小学校から高校までの幼年期から青春期、大人へ移行するまでの生活が描かれている。仲間はずれにした友達のこと。中学を前に分かれて行った友達のこと。自分がいじめに合い、はずれていったこと。崩壊する家族のひととき。そして、大人へと成長すること。永遠とは何なのか。永遠の出口、それは大人になってわかる事なのだ。

こんなに各章がそれぞれに味わい深い短編を読むように、切なく痛い、そして胸がキュンとする小説は少ないと思います。

この小説は最初に書いたように、成長とともに出会う、ひとコマや別れの情景や外れていった自分の感情や、初恋とも呼べる人との出会いと別れ、家族旅行、そして方向を決定付ける高校3年から卒業式の1日など、どれも粒揃いで涙し、胸が痛くなる小説です。

かといって、決してじめじめしたものではありません。青春とともに忘れ去っていった自分の姿とだぶって紀子という主人公を観ているからだと思います。
本当にダブるんですよね。仲間はずれにしたことやされたこと。仲間から外れていく過程など。そんな情景を森さんは見事に作品に出してくれました。

永遠はどこにもない。太陽だって命の限りがある。そのことを知った紀子は永遠という言葉の嘘に気付くのです。そう、それは大人になるっていうことなのですよね。
いつまでもこのままでいたい、いて欲しい。そう願いたいけど永遠はない。

だからこそ、大人になって、辛いことがあっても、限りある日々を大切に生きなくてはと、主人公はいっているような気がします。
「永遠の出口」とは「大人へ入口」なのですね。
作者は児童文学出身。そう意味では中学生ぐらいから大人まで幅広く読んでみてもらいたい作品です。
もう一度いいます。こんなに胸が痛くなる小説はめったにありません。
プロフィール

よし

Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

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