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こっちへお入り 平安寿子

こっちへお入りこっちへお入り
(2008/03)
平 安寿子

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<わたし、人生勉強してたんだね>

気がつけば、もう5月も7日!おまけに8日も更新をストップしてる(汗)。決して、遊び呆けていたわけではないのですがって、GWだから別にいいか(笑)。この間、日ごろの怠けぐせがたたり、何と9冊も溜まってしまったわけで…。こりゃ、もう致命的で、忘れる寸前状態。更新に思い立ったというわけです。待っていらっしゃった方、ごめんなさい。いないか(再び笑い)。
というわけで、平さんの新作です。

落語好きにも、そうでないあなたにも。笑いあり、涙ありの素人体当たり落語寄席、開演!この私が、やれるのか。人を笑わせられるのか?吉田江利、三十三歳。独身OL。落語に挑戦しちゃいます。【祥伝社HPより】


平さんの作品は今年で三作目。昨年から平さんの出版ラッシュで、わたしも『風に顔をあげて』以来、すっかりファンになってしまいました。
平さんの作品は、大きな事件は何も出てこないんですね。ただ、日常の家庭や職場の問題などがさりげなく、織り込まれ、いつしか元気になる。決して強引ではないんです。ただ、前に進む原動力になったりするんですね。これがたまらない魅力だとわたしは、思うんですがどうでしょうか。

この作品も、そんな感じです。主人公は33才の江利。仕事もまあまあ。上司から仕事を任せられて、後輩の教育係になっているんですね。そんな江利が、友人が入っている落語サークルに出向いた時、落語を薦められるんです。自分が落語なんてとやる気はないんですけど、落語のCDを聴いた瞬間、世界が変わっていきます。そして、次第に落語の世界にはまっていき、ついに発表会に出ることに。その過程が、妙に清々しく、可笑しく、こういうのが本当にはまると言うんでしょうね。それは、決して馬鹿らしいんじゃなく、読み手のわたしたちも落語の世界にはまっていくから不思議。そして、何かにはまっていくというのは、何て楽しいんだろうと思えてくるんですね。仕事や家庭や、それ以外に踏み出せないわたしや、あなたに違う世界に踏み込む勇気を与えてくれるんです。そこが、この作品の魅力ですねー。

江利はいいます。『仕事以外で、何かを「やる」側に回ったことはない』。つまり、内側ばかりで、外に向って、何かをやることが、最高の気分転換になるというわけです。『仕事である程度の力を発揮できているとは思うが、それを自分の存在証明にしたくない』。うん、わかるなー。仕事でもそうなんですけど、それだけじゃないんですねー。何かを自分の存在証明にしたい。つまり、生きがいを持ちたいんですね。同感同感と頷いてしまいました。

さて、この落語のお話。江利の中で、次から次へと興味が広がり、「寿限無」や「船徳」「金明竹」「三枚起請」、「饅頭怖い」などおなじみの落語の話が満載。わたし、落語が結構好きなので、これはもう、うんうんと納得のお話でした。また、古今の著名の落語家さんのエピソードも満載なので、落語好きにはたまらない1冊でしょうね。特段、落語を知らなくても、十分面白いですから、念のため。

これだけではないんです。これに江利の家の問題も絡むんですが、まあ、これは別になくてもいいような気も。どっちかというと、はっきりしない恋人との話だけでも良かったかも。ともあれ、最後は爽快爽快。落語のサークルの楽笑さんが何と言っても、いいんです。そして恋人の旬も。

『知れば知るほど、落語が描く人間の物語は深く、怖く、温かい。わたしたちを取り巻く状況は常に厳(きび)しいものですが、落語頭があれば乗り切れると、わたしは信じているのです』(著者あとがきより)
まさに、そんな気がしてくるんです。落語頭があれば、乗り切れる。落語は人生そのものなんですね。
平さんの作品って、面白いです。さて、次はどうくるんでしょうか。
わたし、落語CD買っちゃいますから!
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セ・シ・ボン 平安寿子

セ・シ・ボンセ・シ・ボン
(2008/01)
平 安寿子

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<そりゃもう、素敵>

やっと画像が表示されました。長かったですねー。平さんの作品だけにとっても読みやすく、やはり元気が出てくる作品でした。今年は平さんの作品にはまりそうな予感がします。

生き迷っていた若いタイコが、留学先のパリで出会った、風変わりな人物、おかしな出来事。笑って、あきれて、やがてしみじみとする、調子っぱずれの留学物語。【筑摩書房HPより】


この作品は、28年前に平さん自らが、語学留学でパリに3ヶ月間滞在した時の体験エッセイです。本のタイトルから行くと、とても素晴らしい体験で、かけがえのない人との出会いがあって…、などということを予想して読んだら、大間違い。この3ヶ月、フラストレーションとストレスに苛まれた日々だったというからおかしい。
しかしながら、滞在したホームステイ先の夫婦を始め、各国から集まった風変わりな留学生達との、温かい交流がやはりいいんです。

ホームステイ先の夫婦は、とても正反対の性格。夫は浪費家のボンボン。妻はしっかり者で倹約家。そんな妻は夫のことをこういいます。
「小さな欠点しかない男には、小さな長所しかないわ。大きな欠点のある男には、大きな長所があるのよ」
なんと名言。そして、平さんはこう続けるんです。「男の大きな欠点が許せない女もまた、小さな長所しかない甲斐性なしである」と。序章からこんな調子でパリで出会った人たちとの話が続きます。

アメリカからやってきたプリシア、一緒に同居することになる、イギリス人のグラハム。謎の日本人、イラン人などなど。そして、ちょっぴりのロマンスもあったりして、とっても貴重な体験をされているんですね。
しかし、平さんはこの留学をこういいます。
「パリは特別な街ではない。特に愛着はなく…あそこで会った人たちが今どうしているのか、興味はない、会いたくもない」
そんなパリの出来事をなぜ今になって書く気になったのかというと、年を経て、気付くんですね。
「生きるとは思い出すこと。人は思い出すために生きる…パリでの日々が今のわたしの足元を支える土台になっている」と。
これまた名言。

考えて見ると、自分の土台はどこだろう。平さんのような留学もしたことないし、冒険もしたことがない私。しかし、土台はあるんですねー。若かった頃の体験ですねー。それは人との繫がりであったし、自分の成長をさせてくれたと思っています。
そう、やらないよりやったほうがいい。それが決して楽しいものでもないにしても。それが、土台になるとしたら、人生捨てたものではないでしょ。
そう、平さんは教えてくれています。「そりゃもう、素敵」と。
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風に顔をあげて 平安寿子

風に顔をあげて 風に顔をあげて
平 安寿子 (2007/12)
角川書店
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<主人公は、25歳フリーター。元気がムクムク出てくる物語>

平安寿子さんは、広島出身の作家。今も広島で書いていらっしゃるのでしょうか?今までも数多くの家族小説を書いてきておられるようなのですが、わたしは未読。積読本もあるのですが、なかなか手に取れなかった作家さんです。
今回、初めてその作品に触れ、この作家の良さに触れました。今年は、平さんも読まなくては…。

元気が取り柄の風実が密かに抱える、弟のゲイカミングアウトより、自称ボクサーの彼との恋より、どうしても好きになれない母のことより、心配なこととは? ままならない日常に立ち向かう、すべての働く男女に贈る物語。【角川HPより】


この作品はですねー、笑えないんですよね。主人公の風美は25歳フリーター。様々なアルバイトを経験しながら、これでいいのだろうかと将来に不安を抱えている。こういう人って、今、溢れているんだろうなーと思う。わたしもそういう身内を抱えており、知人にもいるんですねー。だから、笑えないんです。

この風美の悩みは、将来の不安だけではなく、ボクサーである恋人との関係。ゲイへカミングアウトしようとしている弟の相談事。外に女を作って、家を出て、めそめそまそまそ泣いている母親のことなど、心配事は数多。

そんな風美の自分探しの物語なんですね。これだけでは、最後まで読ませることはできないのですが、優れているのは脇の登場人物のキャラが立っているんです。飲み友達の小池さんをはじめ、ボクシングジムのオーナー。ゲイバーの経営者。アウトレットで出会う三益さん。さらに惣菜屋台の林さんなど、多くの人に出会っていくうちに、自分のやりたいことを見つけていくんです。その過程が、なんともよく、自然に元気がムクムク湧いてくるんです。

自分の家族について考える主人公の言葉から引用。
「家族や家庭が欲しければ、自分で作ればいい。血だの戸籍だのの証明がなくたって、気持ちでつながってお互いを思いやる関係があれば、それが本当の家族だ」
また、自分の未来がおぼろげながら、見つかった時、
「何かしてあげたい人がいる。何かしてあげたいという心がある。誰かに何かしてあげたいという思いは、エネルギーだ」
そんな風美の葛藤と成長が共感を呼びます。

もちろん、先に書いた素晴らしい脇役達の言葉も心に響きます。そうして、風美だけでなく、弟君も元気になっていくんですね。
人生つまらないとか思っている人、仕事に先行きを感じて悩んでいる人(わたし)、家族関係で悩んでいる人、そして将来に何も見つからないと不安を感じている人、こう書くとほぼ全ての人に当てはまるとも思いますが。誰が読んでもきっと、元気が出てきます。

いい作品です。
風に顔をあげて、がんばりましょうよ、みなさん。
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よし

Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

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