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海 小川洋子
- 2007/11/13(火) 22:34:07
![]() | 海 小川 洋子 (2006/10/28) 新潮社 この商品の詳細を見る |
<人との出会いが、不思議な世界へ誘う>
あの『博士の愛した数式』の前後に書かれた作品集。あの名作の余韻も少し感じられる短編集です。わたしは小川洋子さんは2作目。とっても味のある作品集です。
恋人の実家で、出会った弟は不思議な楽器を奏でていた「海」。街のガイドをしている母の一人息子が、観光で置き去りにされた老人を案内するお話「ガイド」。人との出会いの中で、温かさを感じる7編。
この作品はまず、装幀がいいですね。単行本ならではの素敵な装丁ですね。クラフトエヴィング商會コンビの装幀ですものね。いいはずです。画像では見にくいかもしれませんが、ブルーのストライプがとってもいいんです。すごく静かな海を表わしています。表題作ともマッチしていますね。
その「海」。弟が奏でる不思議な楽器。鳴鱗琴の音色が聞こえてきそうな感覚に陥るから不思議です。
超短編も2編。どちらもいいですね。「缶入りドロップ」の運転手さん最高です。
「バタフライ和文タイプ事務所」は艶かしい作品です。新米和文タイピストのわたしが、活字を摩損させて、管理人のところに作成を依頼するんですが、その活字がすごい。『糜』『睾』そして『…』。わたしは吹いてしまいました。その字に対する講釈が「博士の愛した数式」の数字の世界のようで、思い出してしまいました。しかし、とってもエロチックなんですね。字を見れば分かりますが…。
そして最後の「ガイド」。とっても温かい話でした。このラストの息子の優しさにホロリです。老人の職業は題名屋。少年との1日を題名にすると「思い出を持たない人間はいない」。この少年と出会った一日が老人にとって、素晴らしい日だったということなんですね。いい話です。
その他の作品も、いいですよ。
とっても味があって、奇妙で、不思議、そして温かい短編集。今後も小川洋子さんの作品を読み続けますとも。はい。
博士の愛した数式 小川洋子
- 2007/06/02(土) 07:34:51
![]() | 博士の愛した数式 小川 洋子 (2005/11/26) 新潮社 この商品の詳細を見る |
<数字、それはなんて美しいものなんだろう>
家政婦のわたしは、事故のため記憶が80分しかもたない数学博士の下にいくことに。靴のサイズを発端に、わたしと阪神タイガース大好きの息子√とともに博士との奇妙で温かい交流が始まる。
淡々とわたしと息子と博士の、日常が語られていきます。
80分しか記憶がない博士の家政婦となった、わたし。しだいにこの数学博士の数字の魅力に取り付かれていきます。
「君の靴のサイズはいくつかね」で始まる数字の魅力にはまっていきます。
誕生日と博士の論文の賞の数字が、友愛数であると語られていくところから、切り離せない存在になっていくんですね。
そして息子√と博士の関係。阪神タイガースが大好きな息子√。江夏が活躍している時代しか記憶にない博士。博士を気づかう√少年。なんて愛情深い、いい子なんでしょう。
ケガをしたときに博士を気づかうルート少年に涙しました。
√の誕生日のシーンも涙。
なんて奇妙で不思議で悲しく、温かい作品なんでしょう。
いい作品です。
そして、わたしにとってはもうひとつ。江夏なんです。わたしの時代のヒーローですよね。王、長島をライバルとして、牙をむいた江夏選手ののエピソードが満載です。江夏選手の背番号も完全数なんですよね。
日ごろは何気なく見ていた数字の世界。あっ、これは素数ではないか、なんて思って数字の世界にはまっています。フェルマーの最終定理も出てきます。
80分の記憶なのでメモだらけの博士。それを受け入れ、接する親子。いい話だなー。
しかし、疑問。博士の愛した数式は一体なんなのですか?
今いち、その意味がわからなかったのが、わたしの不満。
これは一重に読み手のせいでしょう。
何度もいいます。いい作品です。第1回本屋大賞受賞作品もうなづけます。
ぜひ、ぜひこの名作を読んでいただきたいのです。
ジャンル:
- 本・雑誌
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