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午前三時のルースター 垣根涼介 

午前三時のルースター (文春文庫) 午前三時のルースター (文春文庫)
垣根 涼介 (2003/06)
文藝春秋
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<ベトナムで失踪した父を探す、少年とおれ。垣根涼介の一番鶏>

積んでいた、垣根涼介さんのデビュー作を読みました。デビュー作とは思えないスピード感溢れる展開。痛快すぎます。それでいて、ほろ苦さも残るなんて。こんなことなら早く読めばよかった。

旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の慎一郎のベトナム行きに付き添ってほしいという依頼を受ける。慎一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。現地の娼婦・メイや運転手・ビエンと共に父親を探す一行を何者かが妨害する…最後に辿りついた切ない真実とは。サントリーミステリー大賞受賞作。【BOOKデータベースより】


垣根さんのデビュー作です。この作品でサントリーミステリー大賞受賞。なかなかの痛快な冒険小説に仕上がっています。何より、展開がいい。失踪した父親を探す、少年のためにベトナム行きを計画する長瀬。少年のただならぬ事情を聞き、相棒の源内を引き連れ、いざベトナム行。果たして父と子は再会できるのか。なぜ、父は失踪することになったのか。

これは、冒険小説の手法ですよね。この長瀬、ただの旅行代理店の営業マンとは思えない、知能の持ち主なんです。いろんな局面を持ち前の知能で切り抜けていくんです。また、ベトナムでの行動のため、娼婦メイとタクシーの運転手ビエンを雇い、父親探しをしていきます。
ただものではない長瀬の過去については、一切触れられてはいませんが、ビエンやメイを雇う下りは、何かしらの過去を持っているようです。わたしとしては、もう少し掘り下げていって欲しかったなー。

相棒の源内がまたいいんですが、これまた動機が少し弱い。お金が余りあまっているために友人を手助けするというのも、何だかなー。
まっ、この辺はデビュー作ということで差し引いても、ビエンやメイがとてもいいんです。お金のためだけではなく、長瀬という人物に引かれ、協力していく二人。

少年が父親の真相にたどり着いた時、あまりにもな残酷な事実が分かります。祖父から会社の跡取りを約束された少年。母は政略的に再婚。結婚相手には連れ子もいるため、将来は苦難が予想されます。しかし、そんな境遇を受け入れていく、少年。このベトナム行が彼を一回りも二回りも成長させます。そんな少年を描いたラストシーンを見よ。
このシーンだけで、読んで良かったと思いました。

現実のベトナムはこうなのか、疑問ですが、それを差し引いても、痛快に躍動感を感じるこの作品。まさに垣根さんの記念すべき一番鶏です。
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借金取りの王子 垣根涼介

借金取りの王子 借金取りの王子
垣根 涼介 (2007/09)
新潮社
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<リストラ請負人、村上真介ふたたび。主人公はあなたやわたしかもしれない>

リストラ請負人、村上真介シリーズの二作目です。前作「君たちに明日はない」では、主人公の村上真介のキャラが立ってましたけど、今回はやや抑えた感じかなー。
決して、爽快な話ばかりではありませんが、余韻が残る作品になっています。

村上真介はリストラ請負人。デパート、サラ金、生保などの会社から雇われ、リストラのために乗り込んでいく。時には、しかたなく、時には同情を感じながら、仕事をこなしていく。リストラに直面した人たちの人生を描く五つの話。

いやー、面白かった。しかし、素直に笑えないよなー。ここに出てくる人たちは、会社勤めのサラリーマンばかり。
そう、私と同じ境遇ではないか!一つ間違えば(間違わなくても)、明日にもリストラの身。そんなわが身を感じつつ、読み終えました。

例えば「二億円の女」を見よ。デパートの外商営業部で働く営業目標、二億円の女性。仕事も順調なのだが、リストラ応じようとする。果たして、なぜ?答えは「数字に追われるのが嫌だから」
分かるよなー、分かる。
最初に入ったデパガに異動になって、輝きを取戻すというお話。

「借金取りの王子」は金融会社に勤める男の話。イケメンで王子と呼ばれた男はなぜ、リストラに応じようとするのか?

「山里の娘」は有名旅館の従業員のお話。難なく仕事をこなしつつも、都会で働きたい欲望を抑えきれず、リストラに応じようとする。

この三作は特にいいですね。表題作「借金取りの王子」のラストの美佐子と宏明の会話がいいですね。涙なくして読めません。いいなー、この夫婦。幸せとは仕事の価値ではないんですね。それを教えてくれる作品です。

皆、収入には不自由していないが、会社の中で働き甲斐や生きがいを感じないまま、過ごしている。つまり、いつでも辞めたいと思っている人たちなのである。家族のために、身を粉にして働く人もいますが、そんな人たちとは一線を画している登場人物なのです。もちろん収入も考えなくてはいけませんが、それよりも人間としてのモラルであるとか、生きがいであるとかを模索している人なのです。
どんな会社や生活の中でもある、悩み。つまり、ここに自分がいます。常識って何?会社って何?そう考えさせられるんですね。そして、このお話に出てくる人たちが見つけた居場所とはどこなんでしょう。

何とリアルな現代を書いてくれるのだろう、垣根さん。
これは現代小説であるとともに、社会小説でもあるとわたしは、思います。このシリーズが書き続けられれば、日本経済の構図が分かるのではないかな。
リストラ請負人を極力抑えつつ、リストラを受ける側を描いたこの手腕に脱帽です。

読み応え在り。前作で垣根さんの意欲作と失礼な書き方をしたと思いますが、もういいません。垣根さんの代表作にしてしまいました。これは、いい作品です。
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君たちに明日はない 垣根涼介

君たちに明日はない (新潮文庫 (か-47-1)) 君たちに明日はない (新潮文庫 (か-47-1))
垣根 涼介 (2007/09/28)
新潮社
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<リストラ請負人、厳しい現実が他人事ではない>

新作「借金取りの王子」はこのリストラ請負人シリーズ第2作。1作目が文庫化されました。
その復習のために、1作目のレビューを載せますね。

リストラを行うことが自分の仕事、「リストラ請負人村上真介」。そんな彼が請け負って出会うのは怒る女、オモチャ屋の男、旧友、元コンパニオン、音楽プロデューサー。シビアな現代を描きつつ、決して暗くない5つの短編。

うーん、リストラ世代になった今、この短編集は自分にとっても、決して笑って読むことができませんでした。こういう人物の設定や、リストラの対象にされる人たちを見るまなざしも、優しい視点で書いて欲しいのですが…。主人公はリストラ請負人だけあって、淡々と自分の仕事をこなしていきます。一人ひとりを査定で評価してリストラに追い込めれば良いのですが、簡単にそうはいかないのがまた現実的。何ともいえない複雑な気持ちに。

ただ、この作者はこうしたテーマを決して暗いものではなく、展望を持った書き方をしているところがすごいなーと感心してしまいます。読ませる力量はさすがです。名作「ワイルド・ソウル」のノリはこの作品にも出ていています。ある意味この作者の特徴なのかなと思ってしまいます。

人物の設定も面白い。主人公の恋人芹沢陽子との出会いとその後。
彼といつもコンビを組んでいる川田陽子は美人なのだけれども、今風のボケの持ち主。そんな彼女とは一定の距離を置いて付き合っています。そしてリストラの対象になる人たちの悲哀。

この主人公、マザコンなのか、かなりの年上の女性を好みます。その辺をもう少し書いて欲しかったのと同時に、現実的な生活の臭いが感じられない主人公なのです。全て完璧。

しかし、このテーマでここまで読ませるのは作者の力量。今後も読む作家だと思いますね。ACT.3「旧友」の夫婦の会話には泣きました。この作品の中でも絶品です。

良くもあり、悪くもあり。しかし、力量は認め、期待する。そんな作家さんは、誰にもありますよね。わたしにとってはきっとそういう作家さんでしょう。
結論は全体的にはいいが、個人の思い(読む側の)に左右される本でしょう。このテーマに挑戦した作家の意欲作と取りたい。
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よし

Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

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