コンテントヘッダー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
コンテントヘッダー

日傘のお兄さん 豊島ミホ

日傘のお兄さん (新潮文庫 と 17-2) 日傘のお兄さん (新潮文庫 と 17-2)
豊島 ミホ (2007/10)
新潮社
この商品の詳細を見る

<それでも私、お兄さんと一緒に逃げる。少女達の繊細で切ない気持ち>

「青空チェリー」に続く、単行本二作目の文庫化。文庫化にあたり大幅に改稿をしたそうです。どうやら初期の作品の書き込み不足による、改稿らしいです。

表題作「日傘のお兄さん」はネット上でロリコン男として、注目され追われている身のお兄さんが、「かくまってくれないか」と、夏美を訪ねてきます。幼い頃に毎日遊んでくれた日傘のお兄さんとの再会。それは危険な逃避行になる。ピュアで切ない少女の気持ちを描いた4編。

最初の単行本をわたしは読んでいないので、何ともいえませんが、大幅に書き加えられたらしいです。そして、落とされた作品も。
わたしは、落とされた「猫のように」という作品が気になりますねー。いっそのこと、単行本も読んでみようかなー。

さて、この作品は、何といっても「日傘のお兄さん」のインパクトですよね。ロリコンでネットで追われている「日傘のお兄さん」を匿い、一緒に逃げることにした夏美の、幼いときに抱いた気持ちのままが純粋に描かれています。

一緒に遊んでくれた日傘のお兄さん。ある日、突然姿を消したお兄さんとの再会に幼いときの気持ちが蘇ってくるのです。一緒に逃げる決心をした夏美。その決心の何と痛々しいことか。先も見えない中、幼いときに一緒に遊んだあの竹藪に帰っていきますが…。そこで待っていたものは何とも残酷で切ないんです。

作品的に好きなのは「あわになる」。24歳で死んだ私。初恋の相手、タマオちゃんの家に居つく事に。そして15ヶ月。「死んだものが新しく生まれ変わる」というお話。とっても切なくて、かといって、切ないだけではない、希望の宿るお話です。これなんだよなー、豊島ミホの作品に見える希望って。

「ハローラジオスター」もいいですねー。ちゃらんぽらんでいい加減に生きていたチセ。将来も見えない中、地方の大学に通うことになる。その中で出会ったノブオと付き合うことに。ほろ苦く、チセの成長が清々しい読後感を与えます。

一見、何のつながりもない作品のようですが、共通しているのは、「ピュアな気持ち」。
豊島ミホという作家の初期の作品といえど、その将来性が十分伺える作品なのでした。
スポンサーサイト
コンテントヘッダー

檸檬のころ 豊島ミホ

檸檬のころ (幻冬舎文庫 と 8-2) 檸檬のころ (幻冬舎文庫 と 8-2)
豊島 ミホ (2007/02)
幻冬舎
この商品の詳細を見る

<地味な高校生活に当たる、一条のスポットライト>

決してスポットの当たることのない、地方の女子高校の生活。普通の生活の中に宿る、高校生の悩みや不安を切り取る連作短編集。

この作品は、「まったり読書日記」のエビノートさんに薦めていただきました。「神田川デイズ」の高校生版ですね。
しかし、豊島さんのお話は、痛い話が多いですね。
痛すぎて涙が出るんじゃなくて、なぜか胸がチクチク痛むという感じ。
どの作品も、とってもいいですねー。

といいつつ、最後の話「雪の降る町、春に散る花」は泣きました。
東京の大学に入学も決まり、付き合っていた彼と離れ離れになることの主人公の辛さ。そして、別れの時を切なき描きます。
自分も田舎を離れ、一人暮らしを始めたときの不安と寂しさがオーバーラップしてくるんですね。ただし、恋人はいませんでしたが。
大切な人だった人と離れ離れになる、寂しさが切々と伝わってきます。

唯一、この作品の中で系統が違っていたのが「金子商店の夏」。
司法試験に何回も落ちている和弥は祖父が、危ないという知らせに慌てて帰郷します。実家の学校の側の、小さな小さな金子商店。そこで懐かしい友だちと合って、幼い頃の記憶が蘇ってきます。
そして、まんざら「金子商店」も捨てたものでないと思い始めます。ラストで和弥が、ホースで水を撒くシーンがとってもいいんですね。
そこには、希望が溢れています。

その他は女子校生の話。
どれも粒揃いです。しかも微妙にリンクしています。
神田川デイズの手法ですね。

何気ない生活の中に、光を当てる豊島さんの手腕に、今さらながらすごさを感じますねー。
何回も言いますが、本当に痛い作品を書かれる作家さんです。
この痛さが、癖になるから不思議。

豊島ミホさんは、どこにいくのでしょうか。
今後の作品も期待します。
コンテントヘッダー

神田川デイズ 豊島ミホ

神田川デイズ 神田川デイズ
豊島 ミホ (2007/05)
角川書店
この商品の詳細を見る

<花束になんかなりたくない>

貧乏アパートに集っては、無駄な日々を過す男子大学生3人。「このままではいかん!」。何かを始めようとして選んだのは、お笑いだった。(見ろ、空は白む)
田舎から上京して女の子が出会ったのは、政治サークルの先輩の優しさと素敵な笑顔。孤独を感じながら不器用に生きる少女。(いちごに朝露、映るは空)
など、6つの話。男女のキャンパスライフを描く。

来たー、豊島ミホが大学生の男女の話を書きました。とすれば、豊島さんの出身大学のあの大学かなー。
といっても、この短編集、きらびやかでも華やかでも、爽快でもない。
ここに描かれている男女は、貧乏で才能もなければ、夢ややりがいもあるわけでもなく、それでいて孤独なんですね。
それはこの本のタイトルである程度、予想がゆくと思いますけど。

決して大学生活は楽しいものではないんですよね。ここの登場する男女の思いは誰もが感じてきたことなのではないのかなー。
例えば、田舎から出てきて、友だちもできず、孤独を感じたこと。何をしていいか見つからず、夢を探した時期とか。
そういう時期をわたしも思いだしました。ただ、何となく日を過ごした日々。そういう時期を思うと、齢を重ねると、ただ懐かしく、貴重な時間だと思います。決して、あの頃に帰りたいとは思いませんが…。
若者の特権なのかもしれませんね。

この大学生が可笑しい人ばかりなんですね。
わたしが一番、笑ったのは「リベンジ・リトル・ガール」の角田君。
夏休みの課題をやっていない言い訳が可笑しい。何せ「カブトムシの交尾を見ている間に夏休みが過ぎた!」
その後も、カブトムシネタを色々考える始末。
あまりにばかばかしくて、こういうのも使えるかな。

ちゃんと、温かくさせ、希望を持たせる手腕は豊島さん、さすがだなー。
自分のあの頃を思い出す、涙あり、笑いあり、希望ありで、とっても満足な1冊です。
「カブトムシが…」頭にこびりついて、離れない(笑)

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

コンテントヘッダー

夜の朝顔 豊島ミホ

夜の朝顔 夜の朝顔
豊島 ミホ (2006/04)
集英社
この商品の詳細を見る


<まるで、小学生時代のアルバムをめくるように>

海辺に近い田舎で暮らす小学生センリ。家族、姉妹や親戚、クラスメイト、隣町の友だち、初恋。小学校時代の6年間のセンリの七話。ちょっぴり、痛い、成長の物語。

また一人、お気に入りの作家ができてしまいました。
少しばかり、読むのが遅れてしまいましたが豊島さんの作品、初読みです。
この作品が初読みで、すっかり豊島さんにはまってしまいました。噂どおり、途轍もない才能を秘めた作家さんだと思います。
この作品のどれもが粒揃い。
少し、紹介すると。

「入道雲が消えないように」
妹チエミは病弱なため、一人では遊びに行けないセンリ。夏休みの楽しみは親戚の洸兄が来て遊んでくれることだった。妹はマリちゃんが見てくれる。しかし、それも終わってしまう。

「ビニールの下の女の子」
山の向こうの隣町の女の子がいなくなった。センリは竹やぶの中にビニール袋を見つける。もしや、センリの心に恐怖が蔓延るのだが。

「五月の虫歯」
隣町の歯医者に通うことになった、センリ。そこで出会った少女と友だちになる。しかし、その少女には秘密がありそう。

「夜の朝顔」
杳一郎のこと「好きっぽい」。そんな彼の気を引くために、髪を梳き、バスケの授業に挑むのだが。

いいですねー。この作品の中に誰もが経験したことが詰まっているのではないでしょうか?
例えば、トンボのシッポ切りや、親戚のお兄さんに遊んでもらったこと。いつしか、成長とともに、そんな記憶をなくなっていきます。
この作品を読めば、幼かった自分の小学校時代を思い出すんですよね。
子どものころって、決して楽じゃなかったなー。それなりになんか考えていたんだよなー。
この作品のあとがきに作者も書いています。

こうした悩みもいつしか成長とともに消えていきます。記憶も薄くなっていくんですよね。
でもこの作品を読むと、思い出してくるから不思議。

親戚の人たち。あのころの友だち。あこがれていた先生。
懐かしいなー。
痛い小説です。しかし、幼いときだからこその苦い記憶も、成長とともに、消えていくんですね。それがわかっているから、むしろ爽快な気分になっていく小説なんでしょう。

この作者さん、本当に上手い。
幼いあの頃に、戻りましょう。子ども達を見る目も変わってきます。
そんな秀作をぜひぜひ。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

よし

Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

ただし、スパムが多いため、コメントは承認制、TBは現在禁止しています。

カレンダー(月別)
04 ≪│2017/05│≫ 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
今読んでいる本
よしの今読んでる本
最近の記事+コメント
ブログリスト
あわせて読みたい

あわせて読みたい

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

ブログ内検索
RSSフィード
最近のトラックバック
カテゴリー
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。