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三たびの海峡 帚木蓬生 

三たびの海峡 (新潮文庫)三たびの海峡 (新潮文庫)
(1995/07)
帚木 蓬生

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SNSの企画「100冊文庫企画」で推薦した本です。推薦したものの、内容を忘れていたので読み返すことにしたのですが、再読してもやはりこの作品は、いいですね。
涙なくしては読めない名作だとわたしは思います。

一度目は戦時下の強制連行だった。朝鮮から九州の炭鉱に送られた私は、口では言えぬ暴力と辱めを受け続けた。「二度目」は愛する日本女性との祖国への旅。地獄を後にした二人はささやかな幸福を噛みしめたのだが…。戦後半世紀を経た今、私は「三度目の海峡」を越えねばならなかった。“海峡”を渡り、強く成長する男の姿と、日韓史の深部を誠実に重ねて描く山本賞作家の本格長編。吉川英治文学新人賞受賞作品。【BOOKデータベースより】

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八月の舟 樋口有介

八月の舟 (ハルキ文庫)八月の舟 (ハルキ文庫)
(1999/09)
樋口 有介

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なかなか、更新できなくてすいません。少し健康的にガタが来て、リハビリの毎日を送っていますもので、すいません。でも地道に本は読んでいます、何とか。
読んだのは文春文庫版なのですが、画像がないので、ハルキ文庫版で。
樋口さんの作品は、『ぼくと、ぼくらの夏』以来。青春ミステリのイメージがあったのですが、見事に裏切られました。この作品は、青春小説に違いはないのですが、爽やかさがなく、何とも暑苦しい。しかし、紛れもなく青春小説なんだと実感させられる小説でした。

けだるくて退屈な夏休み。高校生のぼくは不思議な魅力を持つ少女、晶子と出会う。晶子、親友の田中くん、そしてそれぞれの家庭や周囲の大人たちを傍観しながら、ぼくの夏が終わっていく……。1960年代の北関東の小さな街を舞台に、清冽な文体で描かれた、ノスタルジックで透明感に満ちた青春小説の傑作。【文藝春秋HP】

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九つの、物語 橋本 紡

九つの、物語九つの、物語
(2008/03)
橋本 紡

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<世界はいい加減で危うい。でも、楽しいものだ>

なんと言っていいんだろう、この作品。ある意味、今年一番の衝撃本(?)かもしれません。さまざまな感想が飛び交って、未だに上手くまとめられません。つまり、この作品がいかに素晴らしいものかということで、感想を悩んでいるからなのです。

大学生のゆきなのもとに突然現われた、もういるはずのない兄。だが、奇妙で心地よい二人の生活は、続かなかった。母からの手紙が失われた記憶を蘇らせ、ゆきなの心は壊れていく…。【集英社HPより】


まず、まず、どこか素晴らしいのか。物語の各章のタイトルは、著名な古典の数々。太宰治や井伏鱒二、そして、この作品のタイトルもこの作家から来ているのでしょうけど、サリンジャー。有名なあの本が、モチーフに使われています。それぞれの作品が、しっかり、各話の中で息づいているのです。
最後に主人公のゆきなは言います。「ああ小説とは。これほど絶妙なタイミングで心に飛び込んでくる」。えてして、こういうことが本読みの中には良くありますよね。そうした本好きの心を揺さぶってくるんですねー、この作品。

ストーリー自体が、この話のキモなので、全部は書けませんが、幽霊となったお兄ちゃんが妹のゆきなの前に現われるというところから始まります。まあ、なぜ幽霊になったのかというところが、この話の主題でもあるから、ここから先は書きません。さらに、息詰まっていく恋人との関係や、両親の問題などで、次第にゆきなの心が壊れ始めてきます。
「世界は壊れてはくれない。毎日は必ず過ぎてゆく、止まらない」とゆきなの悲鳴が綴られます。

そんな時、ゆきなの側にいるのがお兄ちゃんなのです。無頼の女好きで、幽霊になってもそれは治らず、家を空けることも。でも肝心な時、うざいと思えるほど、ゆきなの側にいるんです。兄が妹を見る目が何とも優しいのです。
そんな、ゆきなが慰められるのは、お兄ちゃんかの本棚から取り出す本であったり、お兄ちゃんの作る手料理であったり。この料理が最後にまたいい味出しているんです。
そして、お兄ちゃんに教わったトマトスパゲティ。「食べて見ないとわからないなんて、まるで人生見たいじゃないか。何かを入れすぎても、そこそこおいしくできるんだ。ほら、それもまた、人生みたいだろう」

いやいや、本好きの心をくすぐり、さらに料理好き。そして、ゆきなの壊れた心を懸命に取り戻そうとする兄。どれをとっても、心に沁みる癒し本だとわたしは思うのですが、どうでしょう。
しかし、香月君のふところの狭さはいかがなもんでしょう?母の気配りのなさも。
などなど、少し気になる点もありましたが、十分癒される本だと私は思います。
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すじぼり 福澤徹三

すじぼりすじぼり
(2006/12)
福澤 徹三

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<行き場のない青年が見た、一つの時代の終焉>

今年度の大藪春彦賞の受賞作品です。タイトルからして、怪しい感じがしていて、どうもこれは、暴力小説なんだよなーとちょっとアレルギー反応もあったのですが、物語の展開に、のめりこむように読んでしまいました。もちろん、暴力シーンもありますが、この作品は、それだけではありません。

ひょんなことからやくざ事務所に出入りすることになった亮。時代に取り残され、次第に生きる道を失っていく昔ながらの組の最期に立ち会う少年の目を通して、一つの時代の終焉を哀切と共に綴る瑞々しい青春極道小説!【角川書店HPより】


初読みの作家さんで、そしてこのカバー。そして大藪春彦賞受賞ときては、暴力小説なのではと思うのはあたりまえなんですが、この作品はこれだけではなかった。これ、主人公の青春と成長小説だったのですね。いや、ハラハラドキドキしながら、北九州を疾走する青年を追って、のめりこんで読んでいました。

しかし、この主人公たちのだらしなさといったら腹立たしくて仕方ありませんでしたね。学業にも、生活にも生きる意味を見出せず、ドラッグに手を出し、ヤクザに追われる。そして、逃げ込むように駆け込んだのが、またヤクザ。救いようのない若者達に、腹立たしいことこの上ないのです。しかし、駆け込んだところの事務所の組長の速水に拾われ、気に入られるんですね。そして、バイトを始めます。そこでまたこの事務所の面々と親しくなる。いつしか、友情が生まれ、事件を通しての絆が生まれてくるんですね。絆というか、あちらの世界では義理と人情というのでしょうか。

自分が蒔いた種を速水組に刈り取ってもらったつもりが、とんでもない事件の発端だったんですね。組長も狙われ、親友となった松原も殺されるんです。もうどうしようもない生活にはまり込むんですね。しかし、組の連中は、堅気である亮を決して、ヤクザの世界に引き込もうとはしません。そこにいき詰まったこの世界の難しさに引き込ませたくはないという、それぞれの思いがこめられていたんですね。

ですが、それがわからない涼。松原の敵を打つため、刺青を入れる決心をするのですが…。ここから先はやめましょう。追い、追われる展開になっていきます。
若気の至りというしかないです。本当にどうしようもない。バカな連中です。若い故の失敗と代償は凄く大きなものです。でもこの亮を決して、頭から非難できなくなっていくんですね。若さとしかいえないです。無鉄砲と臆病の同居。そんな亮を速水組が温かく迎えます。

苦い苦い物語です。怖いです。
そんな物語を救ってくれているのは、父親であり、恋人の菜奈。特に父が亮を助けるシーンなどは涙、涙。ヤクザになりきれない亮を、じっと見守っているんです。

冒頭にいいましたが、暴力シーンは多々あり、気弱な私は、怖くてしょうがありませんでした。特に拷問シーンは思わず、口を押さえてしまいました(読んだ人しかわかりませんね)。
しかし、それを補う主人公の成長と青春の物語になっています。
裏切りと暴力の世界に速水組長は言います。
「親しいからといって、気を許すな。ひとを値踏みする時は、言葉じゃなく、行動を見ろ」
これ、最後にその意味がわかってきます。

怖いが、面白い。救いのない物語を、ぜひ、読んでみてください。
これぞ悪漢小説(ピカレスクロマン)と、わたしは思います。
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しゃばけ 畠中 恵

しゃばけ (新潮文庫) しゃばけ (新潮文庫)
畠中 恵 (2004/03)
新潮社
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<妖(あやかし)より恐ろしいのは人間>

先日、ドラマ化されていましたね。
我が家のマイ・ブームはこの「しゃばけ」シリーズ。高校1年のめいが、今年熱を入れて読んだのが、このシリーズです。おかげで、5作目まで揃ってしまいました(笑)

「しゃばけ」シリーズの第1作。実に愉快で面白い。こんなに面白いシリーズを逃していたなんて…。
さあ、大江戸妖怪ファンタジーの開幕です。

廻船問屋問屋長崎屋の跡取り息子の一太郎。17歳にして薬種問屋を任されている。しかし、一太郎は生まれながらにして身体が滅法弱い。いつも寝込む日々。その一太郎に寄り添うように守るのは犬神と白沢。一太郎には、人間には決して見えない妖怪たちの姿が見える。そんな一太郎が遭遇する殺人事件。

一太郎が備えている特殊能力「妖怪が見える」というのが楽しい。生き物だけではなくどんなものにも精霊が宿っているという、江戸ならではの考え方が斬新です。これが、この物語のキーになっています。

妖怪たちがまた可愛い。鈴についている彦姫、屏風のぞき、鳴家(やなり)などなど。そして、いつも側にいる、犬神と白沢もまた妖怪の上に立つ兄貴分。それより上の一太郎はまさに妖怪を束ねる王子。わたしはアニメ「怪物くん」を思い出してしまいました。

さて、なぜ若だんな一太郎には妖怪が見え、妖怪が身を守っているのか。それは、彼の出生の秘密に絡んでいるのです。これが第2のキー。
そして、若だんな一太郎が事件の謎を解いていくうちに徐々にわかっていく生い立ち。どうしても逃れることができない運命に、立ち上がっていくのです。

いつも寝込んでいる若だんなが闘うラストは、すごくかっこいい。まさに妖(あやかし)を束ねるプリンス。わたしはてっきり、江戸を舞台にした推理小説と思っていましたが、こういう展開だったとは…。
娑婆気とは、俗世間における、名誉・利得などのさまざまな欲望にとらわれる心のことだそうです。図らずも小説の中で妖たちがいう、「妖より恐ろしいのは人間」という言葉が最後まで心に残ります。

さて、このシリーズの開幕の作品は、まだまだいろんな謎を残してくれています。これから徐々に明らかになっていくことでしょう。
そしてもう一つ、カバーの作者柴田ゆうさんの表紙が実にマッチしていて、かわいい。
本作品は、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。なるほどとうなづける1冊です。


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ハルさん 藤野恵美

ハルさん ハルさん
藤野 恵美 (2007/02/28)
東京創元社
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<相手を思う気持ちが強ければ、どんなに遠く離れても関係は変わらない>

人形作家のハルさんは、最愛の妻、瑠璃子さんを病気で亡くし、一人娘ふうちゃんを育てるため、決意を新たに頑張ることに。しかし、それがなかなか思うにままならない。天国の瑠璃子さんが頼りの綱。そんなふうちゃんとの成長の過程で起こる様々な謎。

上手いですねー、この作者。冒頭から結婚式に向うハルさんから始まります。もちろんおさな結婚するのはふうちゃんなのだけれど、その回想シーンが謎となって一話ずつ、形成されているんです。

人形作家のハルさんは、まだ売れていない状態で、一人娘を育て上げます。しかし、それは決して、生易しいものではないんですね。それは、ハルさんの性格も影響しているんです。どうにも頼りげなく、人付き合いには苦手。挙句の果てには、天国の瑠璃子さんが手助けに来てくれます。「消えた卵焼き事件」のふうちゃんの可愛さといったら。

そして「夏休みの失踪」では小学校のふうちゃんの冒険。中学生になったふうちゃんが経験するの別れを描く「涙の理由」。
高校生のふうちゃんがバイト先で、ケガをし、お客さんの忘れたものをハルさんが届けにいく「サンタが指輪を持ってくる」。
そして大学生になったふうちゃんの里帰り中に起きる、人形の紛失事件を描く「人形の家」。

話が進むにつれ、ふうちゃんの成長とハルさんの生活の変化が伴ったものとなっています。
そして、最後は冒頭シーンに帰っていくのです。もちろん、ふうちゃんの結婚式ですから、花嫁の父の心境もあったりで、涙もの。

謎そのものは、はっきりいって、ビックリするものではありません。天国の瑠璃子さんが謎解きをします。頼りないハルさんをきっちりサポートするのです。

ミステリーなんですけど、家族の話なのです。
ハルさんとふうちゃんの会話に父親の愛情と娘が父を思う気持ちが伝わってきます。そして、それはラストに増幅されていくんです。
いいなー、この作家。こんなに優しい気持ちになれるミステリーも、当分なかったよなー。
しいて言えば、加納さんに似ていますかねー。わたしは、加納さんも好きですから当然、この作家も好みです。

ぜひ、この家族の年代記を読んでください。
優しい気持ちになれることは間違いありません。
それにしても、ミステリ・フロンティアはレベルが高いですね。
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6ステイン 福井晴敏

6ステイン 6ステイン
福井 晴敏 (2007/04/13)
講談社
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<短編とは思えぬ迫力。市井に生きる工作員たち>

日常は普通の一般市民。その裏では防衛庁情報局所属の工作員という特殊な任務をもつ人たちの短編6編。

まずこの作品の舞台でもある防衛庁情報局とは架空の組織だそうです。しかし、福井さんが書くと、さも実在しているのではないかと錯覚に陥ります。それだけ、あり得るのではないかと思える緻密な書き方なんですね。工作員だけに、人の命を奪うことも正当化されます。この特殊な任務を持つ人々が、福井作品の中で堂々と生きているのです。

国のためにという看板を背負い、冷酷に無感情に無慈悲に自分の仕事を全うしようとしますが、その登場人物たちに気持ちを動かされ、個人として闘っていきます。そうした、彼らが私達を引き込むんですね。

そうそう、この作品を読むと本当に周りが全て疑わしく思えてくるから不思議。裏の裏は表。そのまた裏まで読む彼ら。こういう世界がやはり実在するのでしょうね。

福井さんらしく、戦闘シーンも必ず、盛り込まれています。短編でこれだけ書かれると、わずらわしくなるのですが、その裏の人間心理の書き方がまさに絶妙なのです。

追い込まれながら、組織を捨て、個人のために、闘う彼らに何か勇気付けられるんですよね。冒頭の「いまできる最善のこと」を読んでください。子どもを守るために、「いまできる最善のこと」を、考えていくのです。

「畳算」では夫に捨てられ、旅館を守るおばあさん。今も夫の形見を持って、ずっと待ち続けている。そんな夫との思い出を語るうち、工作員堤もおばあさんの思い出を守るために立ち上がる。いいんですよ、これ。手紙も絶妙です。

その他の作品も、すごく良いです。ちゃんと最後にはサプライズも用意されていて。
冒険、暴力、諜報という形をとりながら、そこに描かれている人間の描写に唸ります。何で早く読まなかったのかなー。
他の福井作品も早く読まなくては。
とにかくすごい、珠玉の作品集なのです。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

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Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

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