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だいこん 山本一力

だいこん だいこん
山本 一力 (2005/01/21)
光文社
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<一家を背負う、つばきちゃんは、えらい!>

浅草の一膳飯屋「だいこん」を15歳で興したつばき。そのひらめきは幼い頃からの経験によるもの。飯を炊くことが誰よりも上手かったつばき。そのつばきが「だいこん」を切り盛りする中から生まれる、アイデア。決して苦難にひるむことなく、立ち向かってゆく。

山本一力さん2作目。「梅咲きぬ」に匹敵する面白さです。

「梅咲きぬ」は老舗の誇りを背負った物語。「だいこん」は一家を背負って一膳飯屋「だいこん」を起こすつばきの話。
ストーリーは「だいこん」がいいですねー。脇役は「梅咲きぬ」かなー。この作品も素晴らしいです。

のつばきは幼い頃から、父の姿を見て育ち、父を教訓として一人で「だいこん」を立ち上げます。
人を見る目やものの考え方は、父に教わりながら。

次々といろんな困難がつばきにふりかかります。そうした時につばきのアイデアが窮地を救います。こうした困難に遭遇したときの対処の仕方を教わったような気がします。
つばきのように強くなりたいなー。

前半はつばきの幼い頃の父の姿が丁寧に書かれています。これは、先にも書いたように幼い頃の経験が強くだいこんに反映されていくからです。酒と博打が好きで借金を返すことができない父と家族の姿は涙ものです。しかし、物見番の賄いとして通ううち自分の才能に目覚めていきます。

いい本というのはいつも思うのですが、中盤からぐっと加速させるものを持っていると思います。この「だいこん」もそう。
店をもつことを決意したつばきのりりしさに感動し、入り込んでいきました。 しかし、父安治のだらしなさって。でも、わたしにはつばきの気持ちがわかります。
どんなにだらしなくても父の優しさが大好きなんです。こういうところが山本一力さんなのですよね。
家族はどんな境遇であろうと温かいもの。そういっているようでした。

後半に向かうにつれ、だいこんをますます繁栄させていくつばきが書かれます。経営って難しいんですよね。
ともあれ、この作品も人生の「指南書」です。つばきの姿を読み、読者がどういう風に思うのか。これも山本さんの計算なんです。
繁栄している現在に居座らず、さらに上をめざすつばきの姿にやっぱり元気をもらいました。
だいこん深川編が読みたい、山本一力さん。
最後に言います。恋を成就させてあげてください。
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梅咲きぬ 山本一力

梅咲きぬ 梅咲きぬ
山本 一力 (2004/12)
潮出版社
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<人生を教えてくれる、これぞ指南書>

深川の料亭江戸屋のお女将、秀弥。それは代々お女将に継がれる名前である。
その3代目秀弥と、その子供玉枝の幼少からを描き、周囲の人たちに支えられながら、4代目を継ぎ、江戸屋を守っていく姿を描く。

玉枝の幼少のくだりは泣かせます。子供だからといって甘やかされません。江戸屋を守るために厳しい作法と世の仕組み、人付き合いとはと徹底的に叩き込まれます。それは、厳しいけれど子供という暖かな目で、深川の人が見てくれている。

そして、周囲がその度量に気付き、4代目秀弥を認めていきます。
幼少の頃のくだりは涙、涙。それは、子供という枠ではなく、すでに大人としてしか見ない大人たちへの怒りもあって。
しかし、しかし周囲があったかいんですね。
踊りの師匠春雅、その夫福松、板長謙蔵、仲居の市弥。登場人物が活き活きと語り、人生を教えてくれます。

最後まで貫いているのはこの言葉。

「つらいときは、好きなだけ泣きなはれ。足るだけ泣いたらよろし。そやけど、自分が可哀想やいうて、あわれむことだけはあきまへんえ。それは毒や。つろうて泣くのと、哀れむのとは違いますよってな」
路地で泣いているうちに、子供なりにわきまえが持てた。何であたしばっかりと思うことが、自分をあわれんでいる……。それに思い当たった玉枝はあとの涙を抑えた。

こうして4代目としての度量を培っていくのです。その他にも自分の程、そして自分の分のわきまえ方など、うんうんとうなづいて読み進めました。
今の世の中なんとわからない人の多いことか…。

とにかくすばらしい。初めての方もそうでない方もこの名作を読んでください。

あなたも江戸時代の深川に生きてみたいと思うこと間違いなしの名作です。人情と矜持、生きる術と人付き合いの妙を教えてもらいました。
ただ残念なのは玉枝の恋か…。

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Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

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