コンテントヘッダー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
コンテントヘッダー

ツバメ記念日-季節風*春 重松 清

ツバメ記念日―季節風*春ツバメ記念日―季節風*春
(2008/03)
重松 清

商品詳細を見る

<春、巣立ちの時。春の記憶を呼び戻す12編>

まだ画像が出ない(泣)。もう出てもいい頃でしょう、amazonさん。
わたくしごとですが、胃腸から来ていると思われる風邪で、何年かぶりに発熱。この金曜から寝込んでおりました。今はだいぶ良くなったのですが、この春という季節、花粉症をはじめ、わたしの体調にはあまり相性が良くないようで困ったものです。

記憶に刻まれた“春”は、何度でも人生をあたためる。憧れ、旅立ち、別れ、幼い日の母の面影──温かい涙あふれる12の春の物語【文藝春秋HPより】


久しぶりの重松さんの作品ですが、良かったですねー。本当にタイトルもピッタリの季節感。この作品は季節に合わせて読んでいただきたいなー。12編の話の中に、春の記憶が蘇ります。

さて、この12編の短編なのですが、どの作品も心にしみこみます。春という季節を12編に収めきっている、重松さんの力量に脱帽ですね。
季節感を味わってもらうため、春らしいタイトルを列挙すると、「めぐりびな」「球春」「よもぎ苦いか、しょっぱいか」「さくら地蔵」「せいくらべ」「目には青葉」「ツバメ記念日」とこれだけでも春を感じてしまいますね。そして、内容もそれぞれ、春を感じるものとなっているんです。卒業、別れ、巣立ち、出会いとこれだけ書かれると、ウルウルですよね。
さて、全部は書けないので好きな作品の内容を少し。

「めぐりびな」…夫の実家から贈られたおひな飾り。しかし、わたしには亡くなった母の思い出のおひなさまがある。やむにやまれず、めぐりびなにしようとするが。

「島小僧」…卒業し島を離れる3人組。「桜会」(島から出て行く青年団の送別会)のあと、島から出て行くことになるが、その桜会は本土との橋もできたこともあって、荒れに荒れてしまう。

「さくら地蔵」…そのお地蔵さまには、全国各地の桜が集められるという。交通安全を祈願して、トラックのドライバーが供えるのだ。定年を前にしたドライバーの胸に去来する思いとは。

「せいくらべ」…両親の都合で引越した先は、二棟続きの狭いアパート。隣からは、苦情の手紙…。一体どうすればいいんんだろう。わたしは、となりに謝りにいく。

「ツバメ記念日」…共働きでぎくしゃくした二人。一人娘の由紀は、風邪がこじれ、大変なことに。やっとの思いで九死に一生を得るが、その朝、妻が駅で見たものは。

それぞれ、好きな作品があると思いますが、わたしは、「島小僧」「さくら地蔵」「せいくらべ」の順でしょうか。それぞれ、「島小僧」の旅立ちが印象的です。「さくら地蔵」のラストは、これまたジーンと来てしまいます。「せいくらべ」は話が意外な方向に行くところが、結構爽快で…。

時あたかも、春真っ盛り。重松さんの春を感じてください。そして、みなさんの中にある、春の思い出に触れてみてください。きっとここまで劇的ではないかもしれませんが、物語が造れそうな気がしてくるから不思議。
ちなみにこのシリーズ「夏」(6月)、「秋」(9月)、「冬」(12月)に発売されます。ここまで、季節感を出さされると、もう買わずにおられないですね。わたしは、春を買ってしまったものですから、絶対買います。
それから、最後に装幀が吉田篤弘・吉田浩美さんです。これまた、すごくいいです。何から何まで素晴らしい。買ってよかったと思えるシリーズです。
わたし、これから先、何回読み直すんだろうか(笑)。
スポンサーサイト
コンテントヘッダー

くちぶえ番長 重松 清

くちぶえ番長 (新潮文庫 し 43-10) くちぶえ番長 (新潮文庫 し 43-10)
重松 清 (2007/06)
新潮社
この商品の詳細を見る

<ちぶえ吹けば涙が止まる。マコトのような、人間でありたい>

この作品は、「小学四年生」という児童向け雑誌に連載された作品です。つまり、児童書の部類かなー。しかし、しかし、大人が読んでも十分面白くて、教えられることが一杯あって、そしてちょっぴり切ない物語に仕上がっています。

ツヨシは、小学四年生。ある日、マコトという転校生がやってくる。転向早々、番長宣言。宣言どおり、マコトは弱気を助け、強気を挫く、正真正銘の番長だった。

冒頭にも書きましたが、教えられることが沢山ありましたね。
一番は友だちとは?かな。いつから、こんな大人になってしまったのかったのか。少なくても、苦しんでいる仲間を助ける気持ちは持ち続けたいのですが。弱いものをいじめている人たちに整然と立ち向かう心ってものが年を重ねるにつれ、無くなってくるんですよね。
やはり、経験値がそうさせるのか。
最も自分が小学四年生のとき、マコトのような子だったとはいいがたい。むしろ、ツヨシタイプだったかもしれない。
そんな、自分の子供時代をも考えさせ、思い出させてくれるこの作品は、やっぱり、いい作品です。

マコトは父を幼い頃に亡くし、祖母の看病のために、ツヨシの街にやってくるんですが、決して卑屈にならず、むしろのびのびと過ごしていきます。それは、父の教えでもあるんですね。
「泣きたいときにはくちぶえを吹け。自然に涙は止まるから」などなど。心にちゃんと父がいます。
そんな父と小学生の時の友人だったのが、ツヨシのお父さん。
このお父さんが、いいんですよ。優しいんです。人形には泣きました。

話が戻りますが、自分が小学四年生の時、何をしていたんだろう?
たいしたことはしていなかったなー。引っ込み思案で思ったことが言えず、本ばっかり読んでいた子供だったようなきがする。
そんな時、転校生があったんですね。近くに越してきたんです。それから仲良くなって、高校まで一緒で。
どうしているのかなー。懐かしくなりました。

ツヨシはそんな番長マコトに引かれていきます。マコトも口には出さないけど、ツヨシのことが気になる様子。
さて、どうなるのでしょうか。
お決まりといえば、お決まりかな。悲しいけど清々しいラスト。

マコトを思い出すツヨシ。きっと、ツヨシは重松さん自信のことだろう。欲を言えばマコトと再会して、終わりにして欲しかったなー。でもあったら、思い出として、書けないか。

子供も大人も手にとって欲しい作品。
きっと何かを感じる作品です。
現実の中でもマコトに会いたいし、マコトのように生きたいと思いました。
コンテントヘッダー

カシオペアの丘で(下) 重松 清

カシオペアの丘で(下) カシオペアの丘で(下)
重松 清 (2007/05/31)
講談社
この商品の詳細を見る

<あなたは、自分自身を許せますか?>

カシオペアの丘で再会を果たす四人。それぞれの思いが溢れる。しかし、シュンの病気は思いのほか、進行が早く北都の町で倒れてしまう。捨てた町、倉田が支配する町で入院をするシュン。東京に帰ることを願う家族。それぞれの思いが溢れ出す。

上巻の感想で書いたのは、この作品のテーマが「死」を扱ったものであるということですね。しかし、下巻を読んで、間違いであることに気付きました。この作品は死を題材にしているけれど、最も大きなテーマは「過去を許せるのか」ということです。

この作品を読み終えたとき、それぞれの読み手の胸に自分自身の過去について振り返り、過去を許せるのかと問いかけてきます。
シュンが背負った、トシへの思い。娘を失った川原さん夫婦。そして、ミウさんまでも過去のある事件にずっと縛られながら、生きています。
シュンの残り少ない時間の中で、それぞれが過去と向き合い、それぞれが憎んでいたことや、引け目に感じていたことなどを消化していきます。
結局、「自分自身を許すことができるのか」ということがクライマックスなのですね。

と、これはこれでいいのですが、作品自体も読ませるし、随所に涙も誘われます。全く上手いと思います。
ただ、二つ敢えて注文を。
一つは、登場人物達が、あまりにも悲劇を背負って生きているということです。あまりにも多すぎるのでは…。逆にトシやユウちゃんや恵理さんが、何と健気であり、たくましくも見え、救われるんですね。わたしは、こういう登場人物に魅かれました。それも作者の狙いなんでしょうけど。
もう一つは、それぞれの過去をここまで明らかにすることが、贖罪だとは思えないんです。シュンとミッチョの過去を恵理に教える必要性がどうしてあるのでしょうか?そこがどうしても納得できませんでした。

などと、書いてきましたが、いい作品ですよ。
冒頭のページからずっと最終章まで続いていきます。妙に星が見たくなるから不思議。
みなさん、満点の星を見たことがありますか?
幼いときに見た田舎の夜空が恋しくて、星を見に行こうかなと思ってしまいました。だが、わたしのことだから、プラネタリウムで済ますのだろうなー。

この作品を読み終えたとき、それぞれの読者にいろんな思いが溢れると思います。贖罪とはどういうことか。それぞれが、考えていけばいいんですね。
色々、書きましたが大傑作には間違いありません。だってここまで、のめりこんだ作品はなかったですもの。
良くも悪くもぜひぜひ、読まれることをオススメします。

あっ、書き忘れた。エルドラドを見てみたいなー。今もあるんでしょうかね。調べてみようっと。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

コンテントヘッダー

カシオペアの丘で(上) 重松 清

カシオペアの丘で(上) カシオペアの丘で(上)
重松 清 (2007/05/31)
講談社
この商品の詳細を見る

<帰ろう、あの丘へ>

北海道北都の街、トシ、ユウジ、ミッチョ、シュンの4人組は、「カシオペアの丘」という遊園地を作ることを夢見る。それから30年、シュンは癌に冒され、余命数ヶ月。ミッチョとトシは夢見た遊園地を経営しているが、それも廃園寸前。そして、シュンは、ある事情で離れざるを得なくなった、カシオペアの丘に帰ることに。

すごい作品に出会いました。
もう、重松さんは「その日のまえに」以上の傑作は、望めないだろうと思っていたのですが、上巻を読んで、これは大傑作ということを確信しました。

ストーリーは前述のとおりなのですが、もう一つの話として絡むのが、娘を妻の不倫相手に殺される事件の被害者、川原さん。いきなり妻に裏切られ、娘が殺されるという喪失感に直面している。

シュンは、祖父千太郎が、経営する北都の町で起こした事実を知ります。トシの家族を死に追いやったこと。また、トシがある出来事によって、車椅子生活を送ることになったのは、自分の罪と感じ、北都を離れて、東京で暮らしています。そんな彼が、癌に冒されているとわかり、余命幾ばくもない事実の中で、カシオペアの丘に帰る決心をします。

シュンの病気を通して、友人達への思いや、家族の思い、そして、シュンを通じて語られる自分の人生への思いは、命の尊さと今を生きることが、大切だと重松さんは書いているように感じます。
それだけではなく、家族とは何かということも教えてくれます。

いろんな場面で、いろんなことを思い、章ごとにのめりこむ展開と何度も読み返したい印象的な会話と文章。
そして、章ごとに泣いてしまう作品などめったにありません。

さて、30年経ち、廃園寸前の「カシオペアの丘」で再会を果たす、四人。そして川原さんと妻との関係は。死期迫るシュンと祖父の千太郎。
健気に残りの生活を苦しまず、迎えさせてやろうとするシュンの家族。
いろんな思いがカシオペアの丘に詰まっています。

もう一つ、この北都の町の背景になっているのが、石炭の街だったということ。エネルギー政策の転換と、それに付随する事故。誰が悪くて、誰のせいなのか。シュンと祖父、川原さんと妻、そしてトシとシュンを通じて、憎むことと、許すこととは一体何なのだろうと考えさせられます。

とにかく、これ以上書くと下巻の感想がなくなりますので、この辺で。下巻に続きます。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

コンテントヘッダー

その日のまえに 重松 清

その日のまえに その日のまえに
重松 清 (2005/08/05)
文藝春秋
この商品の詳細を見る


<永遠なんてどこにもない。死を題材に生を問う。落涙必至の傑作>

何気ない日常から、ある日突然、愛する人を失う人たちはどうするか。誰でも訪れる死、その日をあなたはどう迎えますか。

こんなに泣いた本はいつ以来だろう。しかも号泣でした。
とめどなく流れる涙。それでも読み続けなければいけない。それは重松作品を読む義務というものだろう。とっておきのラストがあるわけでもない。しかし、読んだ後、生きることや人生ってこういうものなんだなーと考えてしまうのが重松作品であると思います。
この作品も例外ではない。誰もが避けて通りたい「死」をテーマに暗く、重く、辛い作品ばかりです。
ここに収められた作品は、どの主人公たちも死を受け止めていくんですよね。自分がその日を迎えるまでどう過ごしていくのだろうか。

愛する人を亡くした人が読むと、「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」が情景のように、出てきて。その死を思い出しがながら、自分と重なり合いながら読んでしまうので、わたしはグチャグチャに泣いてしまいました。

わたしたちが敬遠する、「死」とはどういうことなんだろうか。それは「生」を思うことなんですね。
ちゃんと重松さんは答えを作品の中で用意しています。それは「考える」ことなんですね。昔を考える、今を考える、そして「その日」を考える。なくなった人たちも、残された人たちも。

永遠なんてない、いつか迎える「その日」を、わたしたちはどう迎えるのでしょうか。それも考えつつ、今をもっと、一日一日を大切なものとして受け止めていかなくてはと思います。とっても辛く、重い作品集です。一つひとつの作品が単独に泣けます。
しかし、重松さんは、ちゃんと最後に繋がるようにしています。
本当にうまい。ストーリーも文章も。流れるような文体と、美しい情景描写。会話の妙。まさに名人級のこの作品集をぜひ手にとってもらいたいと思います。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

よし

Author:よし
本好きですが、読むのは遅いです。読書メーターやってます。

ただし、スパムが多いため、コメントは承認制、TBは現在禁止しています。

カレンダー(月別)
06 ≪│2017/07│≫ 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
今読んでいる本
よしの今読んでる本
最近の記事+コメント
ブログリスト
あわせて読みたい

あわせて読みたい

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

ブログ内検索
RSSフィード
最近のトラックバック
カテゴリー
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。